『未来IT図解 これからの5Gビジネス』
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石川 温の「スマホ業界新聞」
2020/02/08(vol.359)
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《目次》
1.ソフトバンクの5G基地局計画は4G周波数転用を想定済み
━━2021年にはエリアとスマホが一気に拡充か
2.端末割引の負担減り、KDDIとソフトバンクが増収
━━解約率も大幅に改善。法改正は「キャリアだけに恩恵」
3.NTTドコモとメルカリが業務提携
━━早くもメルペイの存在意義は消滅したか
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
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1.ソフトバンクの5G基地局計画は4G周波数転用を想定済み
━━2021年にはエリアとスマホが一気に拡充か
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いよいよ始まる5G。ソフトバンクの宮内謙社長は、2月7日に行われた決算会見で「来月末よりスタートする」と言及した。「3月末」という具体的なスケジュールを明らかにしたと自分のTwitterで報告したところ、広報担当者から「前から3月末だと言及している」との指摘があった。
サービス開始当初のエリアについては「ピンポイントになる」(宮内社長)とのことだ。
そもそも、ソフトバンクが総務省に提出した5Gの基地局開設計画は他社に比べてかなり少ない数字となっていた。基地局数はNTTドコモが1万3002局、KDDIが4万2863局、楽天が2万3735局であるのに対して、ソフトバンクは1万1210局に過ぎなかったのだ。当時、一般メディアは「ソフトバンクはやる気がない」なんて書いていた。
しかし、決算会見で宮川潤一副社長に「最近、総務省が4Gの周波数帯を5Gに転用できるよう準備を進めているようだが、ソフトバンクをそれを見越して計画値を少なめに出したのか」と質問したところ「そのとおりだ」という回答であった。
宮川副社長によれば「5G用に割り当てられた周波数帯は衛星との干渉が難しい周波数帯。干渉がないインドアなどの場所ではネットワークを整備していくが、道路などの面展開は難しい。既存の周波数帯の転用は4Gの基地局を整備する時から意識してきた。総務省では、4G周波数転用の計画を前倒すようなので、一気に全面的に展開していきたい。2021年にはカバー率90%を目指したい」という。
5Gの割当当時も、4Gとの併用に言及していたが、かなり具体的な計画が明らかになったと言えそうだ。
宮川副社長は当時、「2021年には5Gスマホの選択肢が一気に増える」とも話していた。端末が増え、エリアが一気に広がる2021年こそが「5G元年」になるのかも知れない。
ちなみに、いくつかのスマホメーカー関係者に話を聞くと、「2021年にはほとんどのスマホが5G対応になる」という共通認識であった。
ハイエンドだけけでなくミドルやエントリーも5G対応が当たり前になるというわけだ。
さらに2022年にはNSAからSAに切り替わっていくとされており、ようやく「真の5G」が始まる。
5Gの盛り上がりは、これから2〜3年、続くことになるだろう。
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2.端末割引の負担減り、KDDIとソフトバンクが増収
━━解約率も大幅に改善。法改正は「キャリアだけに恩恵」
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この2週間でNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが決算会見を実施。また、いくつかのMVNOがイベントや決算会見を行ったことで、昨年10月に施行された法改正の影響がなんとなく見えてきた。
施行直後の10月は総務省の割引規制により端末の販売が大幅に落ち込んだ模様。ソフトバンクの宮内謙社長は「10月1日からの完全分離に加えて消費税が上がったので販売は落ちだ。ただ、9月までは激しくサブシディ(補助金)を出してどんどん売った」という。9月まで駆け込み需要があり、10月に一気に落ち込んだ。しかし、11月、12月にかけては回復傾向にあったというのは、3社の共通認識だ。
また、10月以降、ソフトバンクの解約率が大幅に改善したというのは注目に値する。ソフトバンクのスマホ解約率は第3四半期が0.53%で、前年同期は0.79%、前々年同期の0.85%に比べるとかなりの改善が見られる。
割引に対する規制が入ったことで、MNPが硬直化し、流動性が一気に落ちたのだろう。
この反動は、MVNOでも見られる。
イオンモバイルによれば「昨年10月以降、解約率が低減した。おそらく、イオンモバイルでは契約の縛りがないために、これまでMNPでキャリアに戻る人が多かった。しかし、昨年10月以降、キャリアでの競争がなくなったため、イオンモバイルを辞める人が減ったのではないか」(イオンリテール 専門事業本部、井関定直モバイル事業部長 )という。
確かに市場は総務省の狙い通り健全になったのかも知れないが、競争は確実に減っているようだ。
結局、MVNOよりもサブブランドに人気が集中しているようで、宮内社長によれば「ワイモバイルが強くなって契約者数が500万を超えた」というし、UQモバイルも先日、200万契約を突破したというアナウンスがあったばかりだ。
一方で、MVNOは苦戦し、IIJmioの契約数が減少に転じてしまっている。
決算全体を見ると、KDDIとソフトバンクが好調な感がある。
ソフトバンクは、ワイモバイルやLINEモバイルの人気もあってARPUが落ちているものの、月あたりの割引額も大幅に減少していることにより、結果として増収増益につながっている。今後、さらに分離プランが浸透することで、収益構造がより改善されることになるだろう。
総務省の法改正は、キャリアを端末割引の呪縛から解き放ち、競争をしなくていい生ぬるい環境に逃しただけに過ぎない。このままでは、市場全体で流動性が落ち、料金競争など夢の話に終わりかねない。総務省は法改正が本当に正しい手法だったのか、早急に見直す必要があるだろう。
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3.NTTドコモとメルカリが業務提携
━━早くもメルペイの存在意義は消滅したか
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2月4日、NTTドコモとメルカリ、メルペイが業務提携すると発表した。ポイントやID、決済の分野で連携していくという。あくまで提携が決定した段階であり、詳細はこれから詰めていくようだ。
LINEとヤフーの経営統合が発表された時、「次はメルカリがどこと組むのか」が話題になったが、NTTドコモがまずツバをつけたということだろう。
将来的にNTTドコモによるメルカリへの資本提携という話があってもおかしくなさそうだ。
ユーザー視点でいえば「メルペイはd払いに切り替えてもいいのではないか」と思う。メルカリがなぜ、メルペイなんて決済サービスを手掛けているかといえば、メルカリユーザーが、フリマで売り上げたお金をリアルの世界で支払えるようにするための「出口」を用意したかっただけということだろう。
つまり、「出口」があればいい話であって、何もメルペイにこだわる必要はない。メルペイの代わりにd払いになったからといってユーザーは何一つ困らない。
メルカリはフリマ事業は堅調に成長しているが、決済事業とアメリカ展開がさっぱりの状態で、大赤字が全体の足を引っ張っている。ならば、メルカリはorigamiなんて救済している場合ではなく、とっととメルペイを畳んでd払いにしてしまったほうが賢明だろう。
NTTドコモ側からすれば、規模が小さく、ユーザーも少ないメルペイを押し付けられても大したメリットはない。NTTドコモが欲しいのはメルカリの会員基盤であって、メルペイには興味はないはずだ。つまり、メルペイを消滅されるのが現実路線ではないか。
ソフトバンクの決算会見で、LINEとヤフーの統合について聞かれた宮内謙社長は「言えたらいいが、言えない。相当、大きなシナジーを出せるのではないか。中国で言えばWeChat PayとAliPayが一緒になるようなもの。いろいろと面白いことができるのではないか」と語った。
おそらく、将来的には、年間200億以上、ベライゾンに支払っているとされる「Yahoo!ブランド」を廃止する方向にあるだろうし、LINE Payはなくなり、PayPayに統合されるのではないか。LINE上でPayPayが使えるようになるのだろう。
早晩、スマホ決済サービスの統廃合が現実味を帯びる中、メルペイの寿命も決して長くはなさそうだ。
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4. 今週のリリース&ニュース
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毎週、膨大に出されるキャリアやメーカーからのプレスリリースや、話題のニュース記事をピックアップ。ニュースとしての重要度とともに、キュレーションしていきます。
■2月3日(月)
シスコとドコモ、クラウド型の電話システムにおける協業を開始-「Cisco Webex Calling」とドコモのクラウド型電話ソリューションの連携により、多様な働き方の実現を支援-
<重要度★★>
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2020/02/03_00.html
東京オリンピック・パラリンピック開催時はテレワークする企業が増えるのかしら。
KDDI Open Innovation Fund 3号、スマホのみでホテルの受付から滞在まで可能な生体認証技術ソリューションを提供するGTRIIPに出資
<重要度★★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/03/4164.html
このホテル、泊まってみたい。
au、文字も写真も見やすい大画面、スマホ初心者でも安心してご利用可能な「BASIO4」を2月7日より発売開始
<重要度★★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/03/4250.html
独自にUIって、本当に安心して使いやすいのかしら。
川西市とソフトバンクがICTを活用した市民サービスの向上に向けた連携協定を締結
<重要度★>
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200203_01/
実際、向上するのだろうか。
■2月4日(火)
メルカリ・メルペイ・NTTドコモが業務提携に合意
<重要度★★★★★>
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2020/02/04_00.html
詳細はコラムで。
沖縄県における観光型MaaSの社会実装に向けた実証実験を実施
<重要度★★★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/04/4266.html
詳細は日経電子版の連載で。
首里城を高精細な8K 360度VRで再現
<重要度★★★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/04/4267.html
4Kディスプレイを採用したVR、結構、キレイでびっくりした。
「+メッセージ(プラスメッセージ)」利用者数が1,500万を突破~1,500万ポイントなどが当たるキャンペーンを各社が実施~
<重要度★>
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200204_01/
アプリインストール数であって、利用者数とは違うのでは。
■2月5日(水)
自己株式の取得状況に関するお知らせ(会社法第165条2項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)
<重要度★>
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2020/02/05_00.html
ふむふむ。
KDDI、消費者庁の内部通報制度認証 (WCMS認証) に登録
<重要度★★★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/05/4271.html
スパイに情報を渡す人とかも見つけられるかしら。
■2月6日(木)
「ドコモテレビターミナル02」を発売
<重要度★★★>
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2020/02/06_00.html
後継機種が出るとは意外。
KDDIとAXLBIT、5G時代のリカーリングビジネス支援に向けた資本業務提携を締結
<重要度★>
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/06/4276.html
KDDIはリカーリングに注力していますな。
■2月7日(金)
2020年3月期 第3四半期 決算発表
<重要度★★>
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200207_01/
詳細はコラムで。
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5. 編集後記
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新型肺炎の影響で、2月末にスペイン・バルセロナで開催のMWCにおいて、LGエレクトロニクス、エリクソンが出展を見合わせると発表しました。MWCを主催するGSMAはイベントの開催を強行するようですが「握手は禁止」などの規制が入るようです。
某キャリアは、出張者を厳選していくとのこと。基地局ベンダーと端末メーカーが出展を見合わせたことで、打ち合わせをする機会も減るでしょうから、さらに出張を見合わせる人も増えそうです。
中国企業も、そもそも中国からヨーロッパに就航する飛行機が運休に追い込まれているだけに、どれだけ参加できるかかなり微妙になりそう。
ファーウェイは世界にメッセージを発信したい立場でしょうが、どれだけのスタッフが現地入りできるのかが問題となりそうです。
果たして、MWCはきちんと開催できるのか。この2週間、LGエレクトロニクスとエリクソンの追随する企業が出てきそうです。
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2020-02-08 14:32:23Z
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