EU首脳会議で復興基金案を協議するメルケル独首相(右)やマクロン仏大統領(中)(20日、ブリュッセル)=ロイター
【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の首脳会議は21日未明(日本時間21日午前)、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済復興のための復興基金案を巡って5日目の協議に入った。ミシェルEU大統領が示した新提案を基に各国が調整を続けるなか、「合意が得られる可能性が高い」(仏政府筋)との見方が強まっている。
17日に開幕した首脳会議は新型コロナの感染拡大以降、初めて対面形式で開いた。交渉が難航し、予定していた2日間の会期を延長している。
首脳会議の議長役であるミシェル氏は20日、7500億ユーロ(約92兆円)という全体の規模は維持する一方、財政規律派に配慮して補助金と融資の比率を修正する案を示した。当初のEU案は5千億ユーロを返済不要な補助金、2500億ユーロを返済が必要な融資とする内容だった。
だが財政規律を重視する「倹約4カ国」(オランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデン)が自国の負担が増えるのを嫌って反対。交渉の行き詰まりを打開するために、ミシェル氏は補助金を3900億ユーロに引き下げ、融資は3600億ユーロに引き上げる新提案を加盟国に示した。
水面下の交渉では倹約4カ国はさらに融資の割合を引き上げるよう迫っていたが、新型コロナの被害の大きい南欧などが反発。ミシェル氏は倹約4カ国を中心にいったん拠出した基金への分担金を払い戻すリベートの金額を積み増し、基金案への合意を迫っている。
その結果、気候変動対策や保健対策、技術革新などに割り当てられるはずだった分は削られた。
EU外交筋によると、倹約4カ国はこの案に一定の理解を示している。仏政府筋は「会議は良い方向で終わりに近づいている」と指摘した。
復興基金はEUの2021~27年の中期予算案に組み込まれている。欧州議会の同意を得た上で、来年から資金が配分される予定だ。
EUでは新型コロナによる死者数が15万人に近づいている。コロナ禍を前に合意できなければ、EUの結束の揺らぎを内外に露呈することになりかない。
EUの欧州委員会の予測では、新型コロナの影響でユーロ圏の20年の実質成長率は前年から8.7%落ち込む。EUの団結を示し、景気のさらなる下振れを避けるため、ミシェル氏やEU議長国のドイツのメルケル首相らは合意を強く求めている。
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2020-07-21 00:23:51Z
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