世界的な半導体不足で国内外の自動車メーカーが減産に追い込まれている。新型コロナウイルス感染拡大に伴いパソコンやゲーム機向けなどの需要も急増し、半導体メーカー側が対応しきれていない事情がある。自動ブレーキや運転支援など機能の高度化で、１台あたりに使用する半導体の使用量が増えていることも背景にある。業種を超えた半導体の争奪戦が見込まれる中、製品不足が長期化する可能性もあり、海外依存体質の日本企業は在庫計画の見直しが急務だ。
半導体不足を受け、トヨタ自動車は米国で１車種の減産を決め、ホンダは１月に小型車「フィット」などを国内で月４千台ほど減産する。日産自動車も小型車「ノート」の生産を１月に数千台減らす。
海外ではフォルクスワーゲン（ＶＷ）やフィアット・クライスラー・オートモービルズ（ＦＣＡ）などが軒並み生産調整を決めた。
業界団体の世界半導体市場統計（ＷＳＴＳ）によると、コロナ禍でも「巣ごもり消費」や第５世代（５Ｇ）移動通信システムの投資増などで、半導体市場は２０２１年には前年比８・４％増の４６９４億ドル（約５０兆円）と、過去最高を更新する見込みだ。
半導体業界は大規模装置で製品を大量生産してコストを下げているが、短期的な需要は景気に左右されやすい。このため、メーカー側は最新製品の設計に注力し、生産は「ファウンドリー」と呼ばれる受託製造会社に任せる傾向にある。
ファウンドリーは巨額の投資をしながら、設備が需要動向によって、無駄にならないよう製品の種類を選びながら生産する。
今回の自動車向け半導体の不足は、ファウンドリーが新型コロナ禍で通信や家電向けなどの需要が増えるトレンドを見ながら生産を差配していたところ、自動車生産が数カ月で急激に増減したため、対応しきれなかったことが大きい。
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2021-01-16 10:34:00Z
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