Selasa, 27 April 2021

野村巨額損失、運命を分けた3月25日の決断 - 日本経済新聞

27日、野村ホールディングスは米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントに関連する損失として約3100億円(約28.7億㌦)を計上すると発表した。3月下旬に公表した概算額の約2200億円(約20億㌦)よりも損失が膨らむ。担保にとっていた株式の価格が見通しに比べて安く推移したことで損失が膨らんだという。

本稿は、4月5日付本欄「アルケゴス、ノムラが『逃げ遅れた』真の理由は?」の続編である。この問題に関しては様々な関係者証言などが欧米メディアで報道されている。以下は、そのなかで、ニューヨーク市場の視点から最も現実に近いとされる事の顛末だ。

アルケゴスの問題が発覚したのは今年3月25日。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、NOMURAなど関連大手金融機関は、渦中の人物ビル・ホワン氏が招集した会議で、各行が同時に巨額の取引(トータル・リターン・スワップ)を行ってきたことを初めて知った。

ホワン氏との間で最大級のポジションを持っていたNOMURAとクレディ・スイスは、各社が協調して1カ月程度でポジションを整理するという選択肢を主張した。ただし、独禁法に抵触の恐れがあるので、各社がそれぞれアルケゴスと合意せねばならない。

対して、そんな悠長なことは言っていられない、と協調合意案を一蹴したのが、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーであった。1~2日のうちに、本件は市場が知るところとなり、投げ売り合戦になるのは見えている、との判断だ。

結局、「債権者会議」は決裂に終わった。そして3月26日に米系2社は担保の差し押さえ、強制売り手じまいに動いたのだ。

NOMURAが「協調売却案」を支持したことの背景には、日本流の「護送船団方式」の発想が透ける。関係者が知恵を出し合い、解決策を模索する、という考え方は性善説に基づく。

対する米系2社は、ウォール街の生き馬の目を抜くがごとき厳しい競争に日々さらされ、基本的に「性悪説」に立つ。売られる前に売る、という行動は、ごく自然な選択だろう。

ニューヨーク市場という、アウェーの環境で戦わねばならぬNOMURAは不利な状況に置かれている。それでも戦わねばならない、となれば、最前線の担当者は無理を承知で突っ走らねばならない。

一見して「リスク管理が厳格な組織でなぜ?」と素朴な疑問も湧くが、コンプライアンス部門と営業部隊の相克は珍しいことではない。

最後は、経営決断の問題である。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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2021-04-27 10:48:09Z
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