[ロンドン 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
米国とカナダの経済はいずれも力強く回復しており、回復状況はどちらかと言えば米国の方が勝っている。だが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、量的緩和縮小(テーパリング)をいち早く決めたカナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁とは異なる政策運営の道筋を選びつつある。
マックレム氏が債券買い入れの減額を表明してから1週間が過ぎるタイミングで、パウエル氏は27-28日の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FRBはそこで毎月1200億ドルの債券買い入れ方針を維持する公算が大きい。国内総生産(GDP)が新型コロナウイルスのパンデミック前の水準に戻るスピードはカナダより米国が先になるだろうし、両国とも物価が上がって失業率は低下、財政政策が効果を発揮しようとしている状況だ。それでなお、FRBは緩和規模を変更しないことになる。
確かにカナダ銀行の同国国債市場における保有比率は、FRBよりも高い。しかし両者の根本的な違いは、マックレム氏がより伝統的な金融政策運営の方法を採用しているのに対して、パウエル氏が実験的な路線を歩んでいる点にある。
マックレム氏は、成長見通しの明るさが増したことで来年後半には需給ギャップが解消し、物価圧力が生じると想定してテーパリングに踏み切った。対照的にパウエル氏は、持続的な物価上昇局面が実現するのを待ち、これまで物価上昇率が目標の2%を下回って推移してきた状況を勘案して、今後しばらく2%を超えても容認しようとしている。
こうした姿勢は、FRBが昨年打ち出した新たな金融政策運営の枠組みを実践していることを意味する。政策転換の要は、より積極的な雇用最大化の追求だ。FRBは長年にわたって十分な物価上昇を生み出すことに苦戦してきた経験から、もはや失業率の低下が自動的に賃金上昇に、そして物価上昇にはつながらないと見なしている。だからこの頑健な景気回復を利用して、米社会で最も不利な条件に置かれたグループの失業率までも押し下げる態勢を強化しているところなのだ。
これだけ不確実性が大きい今の局面で、ほとんどの中銀が踏み込んだことのない道をあえて進むのは実に勇気がいる。またその行動は、金融政策の選択肢を一変させる効果がある。
●背景となるニュース
*米連邦準備理事会(FRB)は27-28日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。政策金利の誘導目標は0-0.25%に据え置き、毎月1200億ドルの債券買い入れ継続を決定する見通し。
*カナダ中銀は21日の会合で、政策金利を0.25%に維持した一方、26日の週から国債買い入れ規模を週間で差し引き40億カナダドルから30億カナダドルに減らすと表明した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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2021-04-28 01:14:00Z
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