ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のバニラエア(VNL/JW)は10月26日に、すべての運航を終了する。同日午後には成田発最終便となる台北(桃園)行きJW103便(エアバスA320型機、登録記号JA12VA)が出発し、井上慎一社長らバニラのスタッフが最終便を見送った。
タオルを掲げ成田発最終便JW103便を見送るバニラエアのスタッフ=19年10月26日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire
—記事の概要—
・井上社長、社員の頑張り評価
・最終便は台北発福岡行き
井上社長、社員の頑張り評価
バニラが使用する第3ターミナル(T3)Eカウンター前には、利用者が寄せ書きできるスペースを設けたほか、フォトブースも設置。多くの“バニラファン”がバニラへの思いをつづり、運航への別れを惜しんだ。
JW103便が出発したT3の154番ゲート前であいさつした井上社長は、これまでの利用客や社員・スタッフらに謝辞を述べた。井上社長は20代のころに台湾へ留学したことから「最終便が台北行きなのは感慨深い。台湾は第2のふるさと」と述べ、愛着のある姿勢を見せた。
バニラは26日で運航を終了し、翌27日からは同じくANAHD傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)と統合する。ピーチのCEO(最高経営責任者)を兼務する井上社長は、利用客に「バニラ最後のフライトを楽しんで。今度はピーチでお会いしましょう」と語りかけた。
井上社長のあいさつは、バニラの社員が中国語に逐次通訳した。あいさつの後半、涙で言葉がつまった社員に対し、利用客からは中国語で「がんばれ」を意味する「加油(ジャーヨウ)」のかけ声が飛んだ。
地上係員と客室乗務員、機長もあいさつし、それぞれの“バニラ愛”を披露。「思い出はずっと忘れない」「これからはピーチとして頑張る」「バニラとピーチの文化を融合し、いい会社にする」などと涙ながらに話した。
井上社長と森健明副社長を含むバニラのスタッフは、利用客とともにバニラアイスで乾杯。最終便に別れを惜しんだ。
T3の出発便は搭乗口から駐機場を通過し、タラップ車で搭乗する。通常は搭乗口からタラップ車までは風雨を避ける「エプロンルーフ」があるが、最終便はバニラの社員約100人がエプロンルーフの代わりにアーチを作り、搭乗客を出迎えた。社員にはアーチを作りながら涙をぬぐう姿が多くみられた。
成田発の最終便となったJW103便は、169人(うち幼児1人)が搭乗。午後1時2分に154番ゲートを出発した。社員は特別デザインのスポーツタオルを掲げ、最終便を見送った。成田からの最終便出発後、井上社長は「社員の表情が輝いていた。とてもいい最終便だった」と振り返り、最終日に向け尽力した社員の努力を評価した。
最終便は台北発福岡行き
バニラの前身は、マレーシアのエアアジアとANAHDが出資して2012年8月1日に就航した旧エアアジア・ジャパンで、旧エアアジア・ジャパンは2013年10月26日に運航を終了した。同年12月20日には、バニラエアとして就航。成田から那覇線と台北線の2路線を開設した。
現在の路線は、成田-台北線と福岡-台北線の国際2路線のみ。成田着の最終便は台北を午後2時に出発するJW106便で、午後6時15分に到着する見込み。同便はJW103便に投入したJA12VAではなく、別の機材で運航する。
バニラとしての最終便は、台北を午後4時55分に出発する福岡行きJW158便で、JA12VAで運航。同便は午後8時15分に福岡に到着し、すべての商業運航を終える。
*写真は後ほど追加します。
バニラエアの成田発最終便JW103便台北行きの乗客を見送る井上社長(中)と森副社長(左)ら=19年10月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
成田発最終便JW103便台北行きの乗客を涙で見送るバニラエアの社員=19年10月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
成田発最終便JW103便台北行きの見送りで涙をぬぐうバニラエアの社員=19年10月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
台北に向け出発したバニラエアの成田発最終便JW103便=19年10月26日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
最終便の運航スケジュール(10月26日、定刻)
成田-台北
JW103 成田(13:00)→台北(16:00)
JW106 台北(14:00)→成田(18:15)
福岡-台北
JW151 福岡(09:30)→台北(11:00)
JW158 台北(16:55)→福岡(20:15)
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2019-10-26 07:23:00Z
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