中小に着実にお金が届く仕組みづくりを急ぐ必要がある(3月、札幌市)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済危機に対応するため、各国が中小企業の資金繰り支援を拡大している。大手より資金力に劣る中小企業を放置すれば景気の落ち込みが加速する恐れがあり、欧州では即日融資などスピード重視が目立つ。一方、日本では1カ月以上かかる場合も多く、中小企業の不安を拭い切れていない。緊急事態宣言で状況の厳しさが増す中、中小に着実にお金が届く仕組みづくりを急ぐ必要がある。
移動制限や店舗の営業自粛などを受け、企業の資金繰りは急速に悪化している。特に手元資金が少ない中小は従業員の解雇や倒産に追い込まれやすい。日本の中小の飲食サービス業では現預金が運営費の1カ月分ほどしかない企業も多い。
日本の支援策には日本政策金融公庫の実質無利子融資や信用保証協会の100%保証などがある。3月以降の申請急増に対応しきれず、日本公庫と保証協会に申し込まれた計21万件のうち、融資を承諾したのは約12万件と6割にとどまる。
日本公庫を利用する手続きは借り手や融資の種類などで異なる。押印した申込書や確定申告書、登記簿謄本などの提出や支店での面談が必要だ。
信用保証協会を利用するなら法務局や市区町村の窓口など複数の場所に足を運ぶ必要がある。今は自治体の窓口が混雑しており、融資を受けられるのは「5月の大型連休明けになる場合もある」(大手銀行の支店長)。
緊急経済対策で決めた最大200万円の給付金も支給は5月末から夏ごろの見通し。雇用調整助成金は支給に2カ月ほどかかる場合も多い。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「お金を給付する場合は迅速に審査して届ける作業がいる。地方自治体だけに任せるのは厳しい」とし、ノウハウが豊富な民間に実務をまかせる必要性を強調する。
海外では急激な資金繰りの悪化に対応するため、即日融資するケースもある。スイスでは金融大手クレディ・スイス首脳の提案をきっかけに官民一体で120の銀行が参加する中小支援制度を短期間で作り上げた。
「すぐに口座に資金が振り込まれて助かった」。ジュネーブで老舗レストランを経営する男性(46)は語る。3月中旬からの営業禁止で賃料や給与の支払いが行き詰まりかけたが、ギリギリで危機を乗り越えた。
50万スイスフラン(5600万円)まで100%政府が保証し、銀行が無利子・無審査で融資する。簡単な書類に必要事項を記入しメールで銀行に送れば原則数時間内に振り込まれる。3月26日の受け付け開始から10日間で8万件以上、計150億スイスフランを融資。4月3日には融資枠を200億スイスフラン追加すると発表した。新型コロナによる売り上げ急減の証明などが条件だが、課税ID(法人・個人番号)の整備で、大量の書類の提出などは不要だ。
米国も3500億ドル(約38兆円)の融資枠で、従業員らの給与支払いを政府が肩代わりする仕組みを導入した。3日に受け付けを始め、6日時点で380億ドル(約4兆円)分が利用された。
融資実行の本格化はこれからだが、米政権と議会は2500億ドルの追加枠を週内にも決定するなど異例の速さで対応する。民間調査によると、米中小企業の5割は運転資金が15日分以下。支援提供の迅速さを優先すべきだとの意識が広がる。
日本では不正防止を徹底し公費を投入する制度には慎重を期すべきだとの考えも強いが、現在のような有事には柔軟な対応が求められる。(ジュネーブ=細川倫太郎、杉原淳一、ワシントン=河浪武史)
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2020-04-09 17:00:00Z
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