新型コロナウイルス禍を受けて巨額予算を投じた3度の経済対策が奏功し、国内企業は輸出が好調な製造業を中心に持ち直してきた。ただ、感染拡大防止のあおりでサービス業が深刻な不況に陥るなど回復度合いは二極化。新型コロナ禍の想定以上の長期化で将来不安は根強く、非正規雇用の女性ら立場が弱い人々に必要な支援の手が届いていない。
「今から分かれば苦労しねえよ。分からないことが起きるから予備費なんだ」
麻生太郎財務相は3月30日の記者会見で、令和3年度予算に計上された5兆円のコロナ予備費の使い道を質問され、こう漏らした。
予測不能な感染拡大の波と闘い続けた1年だった。2年春の宣言発令で4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率29・3%減と戦後最悪の落ち込みを記録。政府は国会の事前審議なしに使える11兆5000億円の予備費や、国民一律10万円の特別定額給付金など、3度の補正予算で計76兆7789億円の追加歳出を組み国民生活を支えた。
内閣府試算では、休業手当の一部を補填(ほてん)する雇用調整助成金で失業率を最大3%分軽減するなど、大規模対策は経済の混乱を抑制した。海外経済の回復を追い風に自動車などの製造業は持ち直しに転じ、輸出はコロナ前の水準を回復した。
ただ、2度の宣言発令で外出自粛や営業時間の短縮が広がり、サービス業は需要が蒸発した。東京商工リサーチによると昨年の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は公的支援の効果でバブル期以来30年ぶりに8000件を下回る低水準だったが、飲食業は過去最多、宿泊業も7年ぶりに100件を超える高水準になるなど乖離(かいり)が激しい。こうした業況の二極化は「K字型」回復と呼ばれるコロナ禍の特徴だ。
宿泊・飲食業では就労者の過半を占める非正規労働の女性の雇い止めが増加。野村総合研究所の推計では雇用は維持してもシフト削減などで働けない実質的失業状態の女性も103万人おり、これを加えると2月の女性の失業率は総務省統計の2・6%から6・0%に上昇する。「女性不況」の解消には就業支援を含む息の長い対策が必要だ。
沈んだ街の空気とコロナ感染の恐怖で給付金の多くは貯蓄に回ったとされる。みずほ総合研究所の試算では家計の可処分所得は昨年11兆6000億円増えたが、消費が落ち込み貯蓄は29兆4000億円も増えた。将来不安を払拭し、蓄えられたお金をどう消費に回すのか。景気回復に向け課題は多い。(田辺裕晶)
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2021-04-04 10:18:00Z
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