Sabtu, 11 April 2020

産油国の協調減産、米の取り込み難航 - 日本経済新聞

【ワシントン=中村亮、ドバイ=岐部秀光】産油国サウジアラビアとロシアが主導する原油の協調減産をめぐり、米国の取り込みが難航している。主要20カ国・地域(G20)エネルギー相は10日にまとめた共同声明で減産目標の明記を見送った。生産量を民間の経営判断に委ねる米国が難色を示したためだ。新型コロナウイルスによる需要急減に対応した大幅減産の具体的な道筋を期待した市場は国際協調の乱れに失望しそうだ。

「米国などが日量500万バレルを減産する」。ロシアのノワク・エネルギー相は10日、国営メディアのインタビューでこう主張した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの主要産油国が参加する「OPECプラス」の9日の暫定合意では日量1000万バレルの減産を明記。ロシアやサウジは10日のG20会議でOPECプラスに参加していない米国などからも減産協力を取り付ける段取りを描いていた。

だがG20の共同声明には「エネルギー市場の安定に向けて必要な措置を即時にとる」など具体性に欠ける文言が並び、ノワク氏が主張した米国などの減産目標は盛り込まれなかった。ブルイエット米エネルギー長官は会議で米国の生産量は2020年末までに日量200万バレル減るとの予測を説明した。だが「自由で開かれた原油市場」を重視する考えも強調。生産量を連邦政府が決めるのは適切ではないとの見方を強くにじませた。

代わりに提案したのが国家戦略備蓄施設の活用だ。備蓄施設を民間企業に貸し出して行き場を失った原油を貯蔵し市場の流通量を削減するという。ただ米国の備蓄枠は7億1350万バレルでそのうちの約9割がすでに埋まっている。仮に1日の米国の生産量を全て貯蔵するとすれば6日程度で貯蔵枠が埋まる。供給過剰の解消には効果が薄いとの見方が大勢だ。

原油市場は新型コロナの感染拡大による経済活動の停滞で需要が急減したのに加え、サウジの大幅増産で急激な供給過剰に見舞われた。世界生産の約2割にあたる日量2000万バレル以上が余剰になったとの見方がある。サウジとロシアは余剰解消に向けた協調減産の条件として世界最大の産油国になった米国の具体的な減産協力を求めたが結果は不発に終わった。

オバマ政権下の国務省でエネルギー外交を担当したデビッド・ゴールドウィン氏は今後数カ月間で米国が減産に十分な協力をしたとの具体的なデータが示されなければOPECプラスの減産合意が履行されなくなる恐れがあると指摘する。サウジとロシアはこれまで自国の国営企業に強制的に減産させてもその分を米国の増産で穴埋めされてしまうことに不満を募らせており不信感が根強い。

両国がトランプ政権に見切りをつけて、米国の各州と連携を強めるシナリオも考えられる。米国で原油生産量が最も多い南部テキサス州では当局が州内の生産量を制限する案が浮上する。すでにロシアやOPECと減産の協議を始めており、将来的には連邦政府を迂回して事実上の協調減産に発展する可能性がある。

一方でOPECプラスも一枚岩ではない。9日の会議ではメキシコが自国に割り当てられた減産量に土壇場で反対した。減産を実現させたいトランプ大統領が仲介に乗り出し、メキシコの減産分の一部を肩代わりすることで同国と合意した。だがトランプ氏は具体的な減産の手法を明示せず、OPECプラスの他の参加国が受け入れたかも不明だ。OPECプラスは協調減産の実行はメキシコの参加が確認できることが条件だとしている。

ゴールドウィン氏はOPECプラスの暫定合意を踏まえても「供給過多の市場状況は変わらない」との見方を示す。新型コロナの終息も見えず需要が急回復する見通しは立たない。市場は国際協調の乱れを見透かしており、産油国が狙った原油相場の大幅上昇は見込みにくいとの見方が広がる。

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2020-04-11 07:00:00Z
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