【ロンドン=篠崎健太】スイス金融大手クレディ・スイス・グループは6日、米ヘッジファンドとの取引で44億スイスフラン(約5200億円)の損失が生じると発表した。米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用失敗に伴う費用とみられる。クレディは3月に経営破綻した英グリーンシル・キャピタルとの取引でもファンド閉鎖に追い込まれた。リスク管理の甘さが露呈し、経営幹部が辞任する事態に発展している。
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アルケゴス関連とみられる取引では日本の野村ホールディングスが約20億ドル、三菱UFJ証券ホールディングスが3億ドル弱の損失可能性をそれぞれ発表済み。クレディの関連損失は野村の2倍強の規模で、取引先金融機関では最大となりそうだ。
この損失が響き、22日に発表予定の1~3月期業績は税引き前損益が9億スイスフランの赤字(前年同期は12億スイスフランの黒字)に転落する見通しになった。5月に支払う前期配当金を1株あたり0.1スイスフランと、当初計画の約3分の1に減らすことを決めた。
アルケゴスはヘッジファンド出身者ビル・ホワン氏の個人資産を運用する「ファミリーオフィス」で、クレディは証券決済や融資といった取引サービスを提供していた。求められた担保の追加差し入れ(追い証)を実行できず、米ゴールドマン・サックスなど一部金融機関が3月下旬に担保の強制売却に動いた。クレディは担保の処分に出遅れ、多額の回収不能金が生じたもようだ。
事態の責任を取り、投資銀行部門トップのブライアン・チン氏が4月30日付、最高リスク責任者(CRO)のララ・ワーナー氏が6日付でそれぞれ退任する人事も決めた。
クレディでは不祥事が相次ぐ。3月上旬にはグリーンシルと提携して運用していたファンドを、運用資産の価値が不透明になったとして閉鎖するトラブルが起きた。グリーンシルは経営破綻し、同社への融資が一部焦げ付く恐れが出ている。
同社は組織改編を繰り返し、業務運営が複雑化しているとの指摘がある。責任の所在が不明確になり、各部門はリスク管理よりも高い収益を上げる傾向が強まっていたようだ。
トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)は一連の問題について「すべてのステークホルダー(利害関係者)に重大な懸念を与えている」とのコメントを出した。外部専門家も招いてグリーンシル問題を調べている内部委員会の調査対象に、米顧客との取引も加えた。
グリーンシルの問題では資産運用ビジネスのトップを入れ替え、4月1日付でウェルスマネジメント部門から切り出す組織再編を実施した。1カ月あまりの間に資産運用、投資銀行、リスク管理の最高責任者が事実上更迭された形で、ゴットシュタインCEOの経営責任も問われるのは必至だ。
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2021-04-06 09:49:50Z
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