【ニューヨーク=宮本岳則】米決済大手ペイパル・ホールディングスは7日、日本で後払いサービスを手がけるペイディ(東京・港)を買収すると発表した。買収金額は3000億円となる。以前から強みを持つ越境電子商取引(EC)決済に、新たなサービスを加え、日本での事業基盤を強化する狙いがある。資本力のある海外大手の本格参入で競争は一段と激しくなる。
ペイパルは買収を現金で行う。2021年10~12月期に取引を完了する見通しだ。ペイディ創業者のラッセル・カマー会長と、杉江陸社長兼最高経営責任者(CEO)は買収後も会社に残り、同社の経営のかじ取りを任される。
1998年創業のペイパルは、使い勝手の良さを武器にEC決済で圧倒的な地位を築いた。稼働口座数は6月末までに4億を突破。うち4割は米国外だ。ペイパルで決済可能な加盟店も3200万に達する。21年4~6月期の総決済額は前年同期比40%増の3109億ドル(約34兆円)と過去最高を更新した。時価総額は約3400億ドルで米大手銀行に肩を並べる。
日本市場ではこれまで、海外と商品をやりとりする越境ECの決済に注力し、430万の稼働口座を抱える。ペイパルのダン・シュルマンCEOはかねて、世界3位のEC市場である日本を重点地域の一つに挙げていた。現金決済が7割を占める日本は成長余地が大きいとみる。会員数600万人のペイディを買収することで、国内決済市場での存在感を一気に高める狙いだ。
ペイディはクレジットカード不要の後払い決済サービスを手掛ける。日本では数少ない時価総額10億ドル(約1100億円)超の未上場企業スタートアップの一社だ。3月には米著名投資家ジョージ・ソロス氏一族が運営するファンドなどから総額130億円を調達。未上場企業の資金調達としては過去最大規模となり、注目を集めた。
後払いサービスは「バイ・ナウ・ペイ・レーター(BNPL)」と呼ばれ、欧米を中心に利用が急拡大している。手数料なしの分割支払いサービスが若年層をひき付ける。米金融サービス会社のフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)によると20年に世界のEC決済に占める割合は2.1%。24年には4.2%に上昇すると予想する。
後払い市場の競争は激しく、資本力の勝負になりつつある。米決済大手のスクエアは8月初め、オーストラリアの新興、アフターペイを約290億ドルで買収すると発表した。クラーナ(スウェーデン)は6月、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから6億3900万ドルを調達。企業価値は5兆円規模に膨らんだ。グローバル競争の波が日本のフィンテック市場にも押し寄せた。
ペイパルとは
1998年設立の米決済サービス大手。クレジットカードや銀行口座をアカウントに登録すると、個人間や加盟店で決済・送金できるサービスを手がける。世界全体で稼働するアカウントは4億を超え、加盟店は3200万に達する。共同創業者にはテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のほか、著名投資家ピーター・ティール氏が名を連ねる。
ペイディとは
2008年設立の日本のスタートアップ企業で、14年に後払い決済サービスを開始。消費者がネット通販の買い物でメールアドレスと電話番号を入力すると信用情報機関の個人データなどから与信を瞬時に判断し、クレジットカードを使わずに最大30万円の枠内で買い物ができる。消費者は原則翌月10日までにコンビニエンスストアで支払う。日本を中心にアカウント数は600万を超える。
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2021-09-08 02:00:00Z
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