アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトの米クラウド2強がトヨタ自動車との取引拡大を競う
【シリコンバレー=奥平和行】トヨタ自動車が米アマゾン・ドット・コムとクラウドコンピューティングの領域で提携を拡大する。従来は米マイクロソフトとの協力が中心だったが、クラウド基盤サービスで世界首位のアマゾンとも関係を深めて「コネクテッドカー(つながる車)」を強化する狙いだ。「競わせる調達」で技術力とコスト競争力を高める。
トヨタが17日に発表した。同社は2020年中に日米中の主要市場で販売する乗用車にDCMと呼ぶ通信用コンピューターを標準搭載する計画を示している。街中を走る車から集めたビッグデータの解析や活用に、アマゾン子会社の米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供する機械学習などの技術を使うことを検討する。
米調査会社のカナリスによると、20年4~6月期の企業向けクラウド基盤サービスの世界シェアはAWSが31%で首位だった。トヨタが11年に業務提携したマイクロソフトも営業力を生かして事業を拡大しているが、同四半期のシェアは20%と、AWSの背中を追う展開が続いている。
それでもトヨタはマイクロソフトとの関係を重視してきた。同社もトヨタがつながる車の普及を見据えて16年に設立した現在のトヨタコネクティッド・ノースアメリカに5%出資したほか、トヨタ首脳が力を入れるレース活動にも「テクノロジーパートナー」などとして協力。異例の対応でトヨタへの貢献を示してきた。
一方、AWSも世界有数の製造業であるトヨタへの食い込みを重点課題に据えてきたが、従来は部分的な取り組みにとどまり非公表だった。今回はグループとしての連携を明確にして、さらに「適切なクラウド(技術)を適切な場所、適切な時に使う」(北米トヨタのブライアン・クルサール最高技術責任者=CTO)との言質も得た。
背景にあるのはトヨタとIT(情報技術)業界の環境変化だ。「多くのパートナーがAWSを使っており、提携先を広げることによりデータ移行の効率性を高められるといった効果を見込める」。17日に取材に応じたクルサール氏はAWSとの提携強化に踏み切った理由をこう説明した。
トヨタはつながる車を増やすことに加え、収集したビッグデータをライドシェア(相乗り)やタクシー、自動車保険といった分野の企業と共有するためのプラットフォーム(基盤)を構築する考えを示している。米ウーバーテクノロジーズなど連携を見込む企業の多くがAWSを使っており、提携強化を促した。
コストや開発スピードといった競争力を高めやすいクラウドの普及が進むとともに、「特に大手企業を中心に1社のサービスに縛られたくないと考える顧客が増えている」(米グーグルクラウド部門のトーマス・クリアン最高経営責任者=CEO)ことも追い風になっている。
IT業界では特定の企業や技術への依存度が高くなりすぎると、技術力やコスト競争力が優れた製品・サービスへの乗り換えが難しくなる「ベンダーロックイン」の問題が指摘されてきた。特にAWSを追うマイクロソフトやグーグルが複数企業のクラウド使ってシステムを一元開発・運用する基盤の開発に注力している。
トヨタの調達部門が守ってきた素材や部品を複数のメーカーから仕入れる原則と照らし合わせてみても、こうした複数企業のサービスを併用する「マルチクラウド」の流れは好都合だ。実際、トヨタ幹部はマルチクラウドが今回の判断を後押ししたことを認め、「コストという観点でも明らかに合理的だ」と述べた。
新型コロナウイルスの感染拡大という逆風が吹き付けるなか、トヨタは20年4~6月期に連結最終黒字を確保した。お家芸ともいえる原価低減を徹底した結果だが、自動車の部品の7割は外部調達といわれており、素材・部品メーカーの努力の産物ともいえる。普及とともにクラウドもトヨタの競わせる調達の洗礼を浴びることになる。
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2020-08-18 02:43:12Z
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