2021年05月10日12時15分
経団連の中西宏明会長(75)が任期途中で辞任することが10日、分かった。中西氏は昨年7月からリンパ腫の再発で入院治療中で、本人から申し出があった。通常総会の6月1日付で退く。後任には住友化学の十倉雅和会長(70)が就任する。任期は2期4年。10日午後の理事会で正式に決定する。
中西氏の任期は2022年の通常総会までで、任期途中での交代は02年に旧経団連と日本経営者団体連盟(日経連)が統合して以来初めて。十倉氏は現在、経団連の審議員会副議長で、15年から19年まで副会長を務めた。
中西氏は18年5月に第14代会長に就任。同年秋に経団連主導の就職・採用活動ルールを廃止し、19年には政府の賃上げ要請に産業界が応じる「官製春闘」からの脱却を打ち出した。デジタル革新で社会課題解決を目指す「ソサエティー5.0」の推進も提唱した。
新型コロナウイルス感染拡大が続く中、20年11月には持続可能な資本主義に向け、さまざまな利害関係者を重視する新たな成長戦略を策定した。政府の脱炭素社会目標を経済界として支える姿勢も示していた。
ただ、健康問題は常に付きまとった。19年5月にリンパ腫で入院。同年9月に復帰したものの、20年7月には再入院した。再々発を防ぐために最先端の治療を受けつつ、経団連や、民間議員を務める経済財政諮問会議の会合にオンラインも活用しながら出席するなど職務を続けていた。
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