金融機関の経営陣は従業員や顧客に向けて差別防止を相次ぎ呼びかけている(シティーグループのブログ)
【ニューヨーク=大島有美子】白人警官による黒人暴行死を受け、JPモルガン・チェースやシティグループなど米金融機関の経営陣が差別防止に向けた発信を強めている。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は格差是正を使途とした10億ドル(約1080億円)の支援枠を設定した。経済格差への不満が抗議デモの拡大につながるなか、ウォール街に批判の矛先が向かうことへの警戒もある。
バンカメは2日、「地域社会における経済と人種の不平等を解消する」ことを目的に、4年間で10億ドルの支援枠を設けた。ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は「新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで潜在的な人種差や経済格差がさらに広がった」と指摘。有色人種への医療補助などを含む健康、職業訓練、小規模事業者、住宅の4つの分野を対象に支援する。
「映像をみて戦慄し、打ちのめされ、憤った」。シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は警官に首を膝で押さえ付けられたジョージ・フロイドさんの「息ができない」との言葉とともに5月29日にブログを投稿。「この構造的な問題は我々が立ち向かわなければなくならない」と強調した。
他のウォール街のトップも相次ぎ声を上げた。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは社員向けの電子メールで「黒人や他の共同体が差別と向き合い続けてきた現実に対し、我々はより強く行動していく」と述べた。ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOは「対象や形を問わず差別は許さない」と強調した。
ウォール街が敏感に反応したのには、黒人暴行死事件と時期を同じくした5月25日、米大手運用会社フランクリン・テンプルトン・インベストメンツ勤務の白人女性が黒人への差別発言をしたことが背景にある。女性はニューヨークのセントラルパークで犬を放していたことを黒人男性に注意され、感情的に「アフリカ系米国人が私を脅している」と繰り返して警察に通報。男性がその様子を撮影した動画がSNSで拡散して社会問題となり、女性は翌日に解雇された。
米資産運用最大手のブラックロックのラリー・フィンクCEOはこうした状況を受け「我々には責任がある。より包括的で多様なチームを作っていく」と述べた。社員が様々な問題を議論する場において、「差別問題に対する対話に参加するよう」呼びかけた。
金融危機後の2011年ごろからは「ウォール街を占拠せよ」と掲げた抗議運動も起きた。それだけに、金融機関は今の抗議デモの広がりに敏感になっている。
今後はウォール街における従業員の採用活動にも影響する可能性がある。米金融界はマイノリティーの採用割合を段階的に引き上げてきた。
米下院金融委員会によると、2018年の銀行勤務の白人割合は58%で、他の職種も含む全米の平均(63%)より有色人種の登用割合が大きい。銀行従業員における白人の割合は3年前(60%強)より徐々に減っている。ただ取締役会構成員に絞ると白人が80%で黒人が11%と、大きく偏るのが現状だ。
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1hNWk81OTkwNzMzMFQwMEMyMEE2MDAwMDAwL9IBAA?oc=5
2020-06-02 16:18:16Z
CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1hNWk81OTkwNzMzMFQwMEMyMEE2MDAwMDAwL9IBAA
Tidak ada komentar:
Posting Komentar