[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米シェアオフィス大手ウィーワーク(WE.N)は事業目的として「コンシャスネス・レイジング(グループでの話し合いを通じてさまざまな問題意識を高めること)」を掲げたが、結局は大風呂敷を広げて冷静な判断力を失ったビジネスモデルの愚かさを世間に認知させただけに終わってしまった。
2019年時点で470億ドルと評価されたウィーワークは今月6日、破産法の適用を申請。ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)と傘下の2つの「ビジョン・ファンド」は、160億ドルをつぎ込んだことで生じた傷の手当てに追われている。ただ商業不動産投資家が足元で抱えている問題の中では、今回の件は「大海の一滴」に過ぎない。
ウィーワークは創業者アダム・ニューマン氏やSBGトップの孫正義氏が醸し出すカリスマ性のおかげもあり、低コストで調達した資金で猛烈な勢いのまま、軽率な事業拡大にまい進。人工波のプールから学校の運営にまで手を出したのも余計だったが、本当の間違いはオフィス需要が高い局面で短期の顧客にスペースを提供しながら、長期のリース契約を結んだことだ。
コロナ禍収束後の賃料急落に対処するため、ウィーワークの約30億ドルの社債は株式に転換される。また130億ドルの長期リースの大半は破棄され、一部は解約ないし再交渉の対象になる。全ての利害関係者はある程度の痛みを味わうだろう。SBGも債権者として再建終了後後には恐らく相当な株式を手にするとしても、これまでに何度も注入した資本はほとんど償却されてしまった。
不動産調査会社によると、ニューヨークとボストン、サンフランシスコにあるオフィスのうちウィーワークの運営物件が占める比率は1%にも満たない。ウィーワークが物件から得ている収入も、賃貸不動産業界全体の1%かそれ未満、というのがバークレイズのアナリストチームの分析だ。
それでも賃貸収入の減少は、この分野の投資家や関連する証券化ローンの巨大市場にとって根強い懸念要素になっている。オフィス用不動産投資信託(REIT)は昨年価値が38%目減りし、今年も1―9月でさらに17%下がったことが、業界団体のデータで分かる。
一方でシェアオフィス自体は定着しているし、恐らくもっと足場が強固になるだろう。実際2008年から18年までの間で、シェアオフィスの拠点は100倍余りに拡大したとの調査も出ている。スイスを本拠とするIWGは、ハイブリッド勤務が構造的な成長を見せたおかげで、今年の収入が過去最高になると見込む。ウィーワークから一部拠点を取得しているほどで、これはウィーワークの「暴走」があったとしても、少なくともシェアオフィスは有効だとの認識が高まっている証拠と言える。
●背景となるニュース
*米シェアオフィス大手のウィーワークは6日、ニュージャージー州の連邦裁判所に破産法の適用を申請した。 もっと見る
*ウィーワークによると、債権者の約92%は保有していた有担保社債を株式に転換することに同意し、約30億ドルの債務が償却されることになる。130億ドル超の長期リース契約については、破産手続きの下での再交渉を要請した。6月末時点で同社は世界777拠点でオフィススペースを提供している。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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2023-11-08 09:33:00Z
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