国際通貨基金(IMF)は9日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2019年の世界成長率見通しを金融危機以降で最低の水準に下方修正した。先進国の大半で見通しに陰りが出ていることや、関税引き上げが貿易を圧迫する兆候が背景にある。
IMFは今年の世界経済成長率を3.3%とし、1月に予測した3.5%から引き下げた。予測通りなら19年は世界経済が縮小した09年以来の低成長となる。IMFが見通しを下方修正するのは過去6カ月で3回目。
世界の財・サービスの貿易量は今年、3.4%増加する見通しだが、18年の3.8%増を下回る伸びにとどまる。IMFは1月に4%増と予測していた。
IMFによると、世界の成長率は今年後半に回復後、来年から3.6%で横ばいとなる見込み。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止決定や中国の製造業セクターや米雇用市場での勇気付けられるデータなど、世界経済への楽観を強める動きがこのところ続いているが、IMFはリスクは下向きだと警告。米中貿易協議の決裂の恐れや英国が欧州連合(EU)を合意なく離脱する可能性など、世界経済への脅威に言及し、「世界的な成長の勢いが衰え不況に対応する政策的余地が限られる中、経済活動を害しかねない政策ミスを回避することを主な優先事項にする必要がある」と指摘した。
ラガルドIMF専務理事は、世界経済は「微妙な瞬間」に直面していると警告している。ワシントンでは今週、IMF・世界銀行春季会合が開催され、各国の財務相や中央銀行総裁が参加する予定。米中当局者の貿易協議を受け永続的な停戦への期待感が高まっている一方で、金融危機から10年を経た世界経済の強さについて懸念するアナリストの声も根強い。
米国の成長率見通しは下方修正
IMFは米国の今年の成長率見通しを2.3%と、前回1月に示した予想から0.2ポイント下方修正した。1月に終了した政府機関一部閉鎖の影響や予想を下回る公共支出を反映した。一方、米金融当局が金利について一層辛抱強いスタンスにシフトしたのを踏まえ、来年の米成長率見通しを0.1ポイント上方修正し1.9%とした。
ユーロ圏の今年の成長率見通しは1.3%と、3カ月前より0.3ポイント引き下げるとともに、欧州の複数の主要国で成長鈍化を見込んだ。ドイツでは世界需要の弱さや自動車の排ガス基準厳格化で製造業の生産が打撃を受けているほか、イタリアでは内需の弱さや高いソブリン債スプレッドが見通しを曇らせており、フランスでは街頭デモが成長を圧迫したとIMFは分析した。
英国の今年の成長率見通しは1.2%とし、3カ月前より0.3ポイント下方修正した。
アジアの今年の成長率見通しは、中国を0.1ポイント引き上げ6.3%とした一方、日本は0.1ポイント下方修正し1%とした。
原題:IMF Cuts Global Growth Outlook to Lowest Since Financial Crisis(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-09/PPMIDD6K50XT01
2019-04-09 13:01:00Z
52781659760357
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