スルガ銀行の不正融資問題で、金融庁が昨年10月に出した一部業務停止命令が12日、期限を迎えた。経営体制の刷新を図るため今年初頭に予定した臨時株主総会は開催のめどが立たず、不祥事の温床となった投資用不動産向け融資の再開は5月以降になる見込みだ。スルガ銀問題は経営難にあえぐ地方銀行の「虎の子」だった不動産融資の低迷にもつながり、業界全体に波紋を広げている。(田辺裕晶)
「今後の提携先探しや経営体制が固まるまでは、株主に説明ができない」
スルガ銀関係者は、経営の立て直しに向けたスポンサー探しが難航し、臨時総会が開けないと漏らす。スルガ銀の平成30年12月末の預金残高は1年前と比べ8400億円超減少するなど顧客離れが進む。再出発を図るには外部企業との提携で信用力を補完し、財務基盤を強化する必要がある。
スポンサー候補はSBIホールディングスやりそなホールディングス、新生銀行などの金融業界に加え、家電量販店のノジマの名前も取り沙汰される。ただ、スルガ銀はシェアハウス融資だけでなく無担保ローンでも組織的不正が疑われ、「経営上のリスクが大きい」(地銀幹部)ことが二の足を踏ませる。臨時総会を今後開くのか、6月の定時総会で株主に説明するのかは、「まだ決まっていない」(スルガ銀広報)。
スルガ銀は経営再建に向け内部管理や審査の体制を強化するとともに、融資の約9割を占める個人向けを改めてテコ入れする構えだが、収益の柱だった投資用不動産融資には頼れない。
個人の投資用不動産融資は超低金利環境でも比較的高い利回りが見込め、地銀を中心に融資額が伸びていた。だが、スルガ銀問題の発覚や貸し倒れリスクの警戒感から各行の審査は厳格化。30年の新規の不動産融資額は、前年比5・7%減の約11兆1100億円と2年連続で減った。金融庁の監視の目も強まり、サラリーマンが「頭金なし」で購入に走った過熱感はもはやない。
日本銀行の大規模金融緩和は終わりの兆しすら見えず、本業である貸し出しの利ざや(貸出金利と預金金利の差)は当面回復が見込めない。地銀は投資用不動産融資に頼れず、リスクを取った外債投資の運用失敗で損失を計上するケースが相次ぐなど八方ふさがりだ。
収益源に乏しい中、経営の維持にはコスト削減が欠かせず、支店の統廃合や維持管理コストがかさむATM(現金自動預払機)網の縮小などの動きもある。ただ、世界でも類をみないほど多くの銀行支店がひしめきあう国内では、経営効率化にはオーバーバンキング(銀行過剰)の解消が避けられない。スルガ銀のスポンサー探しは地銀の再編を加速させる可能性がある。
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2019-04-12 13:02:00Z
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