日銀は18日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルス対応の資金繰り支援策の期限を2022年3月末まで半年間延長すると決めた。コロナ禍が長期化し企業の資金繰りの厳しさが続くとみて、支援を続ける。金融機関の気候変動対応の投融資を後押しする新たな資金供給策の導入も決めた。
9月末までだった資金繰り支援策の期限を22年3月まで延ばすことを賛成多数で決めた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で、「対面型消費サービスを中心に依然として資金繰りの厳しさが残っている」と延長の理由を説明した。
そのうえで「今後(新型コロナウイルス禍が)収束するなかで、速やかに事業を再開していく環境を整える」とも指摘。ワクチン接種の進展に伴い、経済が正常化に向かうなかでの前向きな資金需要にも対応できるようにするとした。政府は5月、政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申込期限を年末まで半年間延長した。日銀もこれと足並みをそろえた。
世界的な課題になっている気候変動問題に対応するため、新たな資金供給策を導入することも決めた。金融機関が気候変動関連の投融資をする際の原資となる資金を日銀が有利な条件で供給する仕組みを想定する。次回の7月の決定会合で新制度の骨子を固め、公表する。年内をめどに運用を始める予定だ。
先進国の中銀はこれまで、自然災害の増加などで銀行の融資先の財務が劣化すれば銀行経営も揺らぎかねない、という金融システム安定の観点から気候変動リスクをとらえてきた。半面、経済全体に広く影響を及ぼす金融政策での対応には慎重だった。
この点に関し、黒田総裁は日本政府が2050年までに温暖化ガス温暖の排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げたことに触れつつ「中長期的に気候変動は経済・物価情勢に極めて大きな影響を与える」と指摘。気候変動への対応は長い目でみて、物価の安定という中央銀行の使命に資するとの考えを強調した。金融政策以外の分野でも日銀全体の気候変動への対応方針を近くまとめる考えも示した。
現状の景気判断は、4月の決定会合で示した「コロナの影響で引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」との表現を踏襲した。黒田総裁はワクチン接種が急速に進んでいると指摘したうえで、「この調子で接種が進めば対面型サービスが回復する可能性がある」と語り、「全体としては前よりも明るい見通しに向かっている」との認識も示した。
海外の中央銀行は経済の回復や物価の急上昇を受け、コロナ対応で強化した金融緩和策の見直しを探っている。米連邦準備理事会(FRB)は16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、これまで24年以降としてきたゼロ金利政策の解除時期の見通しを23年に前倒しした。カナダ銀行(中銀)は4月に国債購入の減額を決め、緩和の縮小に舵を切りつつある。
半面、日本の景気回復は鈍く、消費者物価も2%目標に遠く及ばない。黒田総裁は急速に経済が回復する米国がコロナ対応の金融政策の修正に動くのは当然との見方を示したうえで、「先進国が急速に金利を引き上げると新興国から資金が引き揚げて苦況に陥る可能性がある」と指摘。新興国に配慮しながら緩和の縮小をする必要があるとの認識を示した。
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2021-06-18 07:39:00Z
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