Kamis, 25 Maret 2021

帝国ホテル、2500億円投資 年間売上高の5倍で建て替え - 日本経済新聞

帝国ホテルは帝国ホテル東京(東京・千代田)の本館を建て替える

帝国ホテルは25日、旗艦の帝国ホテル東京(東京・千代田)を建て替えると正式発表した。最大2500億円を投じるほか、筆頭株主の三井不動産などと周辺の再開発も手掛ける。新型コロナウイルス収束後を見据え、米ヒルトンなど競合が都内で進める高級ホテルの開業に対抗する。直近売上高の約5倍となる巨額投資は財務悪化につながる懸念もある。

地上17階で約570室を持つホテル本館と、31階建ての複合ビルであるタワー館を建て替える。再開発の敷地面積は約2万3千平方メートル。本館は2031年度に着手し、36年度の完成を計画する。タワー館は24年度にスタートし、30年度に竣工する予定だ。

三井不が用地

総事業費は2000億~2500億円を想定する。三井不動産がタワー館の一部用地を取得し、新館を共同で建設する。本館の本格的な改修は1970年以来となる。

本館を再開発中は先に完成したタワー館や近隣施設を使い、ホテル運営を続ける方針だ。定保英弥社長は「会社は大きくないので、収入を確保しなければならない。従業員の働く場所も確保したい」と説明する。

ホテルが立地する日比谷・内幸町周辺の再開発も行う。帝国ホテルや三井不動産など10社は同日、同エリアの再開発を共同で取り組むと発表した。約6万5千平方メートルの街区を3つに分け、オフィスや商業施設、ホテルが入った40階以上の複合ビルができる見込みだ。

新たな街づくりとして、最新技術を持った企業などが集まるビジネス拠点も整備する。隣接する日比谷公園や駅などと連携し、高度な防災拠点にも位置付ける。三井不は18年に「東京ミッドタウン日比谷」を開業しており、既存施設を含めたにぎわいづくりを目指す。

帝国ホテルはこれまでも建て替えを検討してきた。ただ世界的な新型コロナの感染拡大で訪日外国人による宿泊需要が急減。25日には21年3月期の連結売上高が前期比60%減、最終損益は148億円の赤字(前期は24億円の黒字)になりそうだと明らかにした。

一時は断念する方向に傾いた建て替え計画。その背中を押したのが、都内で相次ぐ高級ホテルの開業計画だ。

米ヒルトンは26年、日本初進出となる最上級ラグジュアリーブランドのホテル「ウォルドーフ・アストリア」を日本橋に開業する。イタリアの高級ブランドのブルガリも八重洲に日本初の高級ホテルを開く予定だ。ホテルオークラやパレスホテルといった日本勢も続々と主力ホテルの建て替えを済ませるなど、顧客の争奪戦は激しさを増す。

老舗ブランドとはいえ、老朽化したままでは競合に見劣りしかねない。「ホテル業を続けるために新たな基盤づくりが必要だ。今動かないと将来の世代がまた同じことで苦しむ」(定保社長)との危機感が、今回の決断につながった。

新型コロナは観光業界に大きな打撃を与えた。帝国ホテルも無縁ではないが、財務基盤の厚さには定評がある。現預金と有価証券は20年12月末時点で341億円。手元資金が月商の何倍かを示す手元流動性比率は20年3月期時点で約9倍と、仮に売り上げがゼロでも1年近くは支払い能力がある計算だった。12月末の自己資本比率は75%と他社比較でも高水準だ。

財務悪化懸念も

手厚い財務を支えるのは、コロナ禍でも前年を上回る利益を稼ぎ出した不動産賃貸事業だ。タワー館に入居する企業からの賃料が寄与し、19年3月期まで営業キャッシュフローは投資キャッシュフローの支出超を上回って推移。投資余力を蓄えてきた。

それでも、コロナ前の直近の連結売上高が500億円規模の帝国ホテルが、最大2500億円に上るプロジェクトを自社単独で進めるのは難しい。資金面では三井不動産が一部用地を取得するなどで支援するほか、「借り入れや土地の売却などを駆使しながらまかなう」(帝国ホテル)。

コロナの収束が見通せないなか、財務の悪化は避けられないもようだ。営業キャッシュフローの増加が見込みにくく、大規模な投資に伴い投資キャッシュフローの支出超もふくらむ。借り入れの増加で自己資本比率の低下も見込まれる。老舗ブランドの決断の成否に注目が集まる。

(原欣宏、宮脇雄斗)

定保社長 資金回収「20年間を想定」


帝国ホテルの定保英弥社長が日本経済新聞の取材に応じた。主なやり取りは以下の通り。
――建て替えの資金面で不安はありませんか。
「タワー館にオフィスやサービスアパートメントを入れた複合施設にして、安定収益を確保する。手元資金に加え、三井不動産の支援や銀行借り入れで対応する。現状の事業環境が続いても財務面では2~3年は踏ん張れる。再開発の資金回収は約20年間を想定している」
――新ホテルの構想をどのように描いていますか。
「現在の重厚感のある建物や丁寧な接客を残しつつ、デジタル化も進める。客室を広くする方向で、平均単価は足元の4万円弱から5万円近くまで引き上げたい。著名建築家のフランク・ロイド・ライトの意匠を残したスイートルームも残す予定だ」
――訪日観光客が期待できないなか、どう対応していきますか。
「当社の強みは国内のリピーターの多さだ。帝国ホテル東京の宿泊者の半分は国内の在住者だ。京都でも新ホテルを開業する予定で、訪日観光客のさらなる認知度向上につなげたい」

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2021-03-25 13:05:55Z
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