半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で主力の生産棟が焼けた火災をめぐり、同社は21日、生産再開は早くても1カ月後になるとの見通しを示した。今回、被災し稼働を停止した生産棟は、同社の中でも最先端の製品を手がけ、生産規模も最大。自動車向け半導体の世界的な不足をうけてフル生産が続いていただけに、自動車業界への更なる打撃となるのは必至だ。
「全力を投じまして、何とか1カ月以内での生産再開にたどり着きたい」
火災発生から2日半が経った21日午後に開いた記者会見で、ルネサスの柴田英利社長は製造装置が黒こげになった現場の写真などを示しつつ、再開時期の目標を語った。ただ、再開には焼損した製造装置を入れ替える必要がある。1カ月で元の稼働状況に戻す目標は、スムーズに装置が調達できるなど、「すべてがうまくいけば」(柴田社長)という条件付きだ。
ルネサスは、自動車の走行を制御する半導体「マイコン」で市場の約2割を握る世界的な大手。それだけに、工場が災害に遭うたびに自動車生産への影響が取りざたされてきた。2011年の東日本大震災では那珂工場が被災し、約3カ月にわたって生産が停止。世界の自動車生産が滞る一因となった。
今回は、マイコンなど自動車向け半導体が世界的に不足し、国内外の自動車メーカーが減産を迫られる局面で、火災の発生と稼働の一部停止となった。ルネサスも半導体不足の解消に向けて、世界中から委託注文が集中して納期が長期化していた台湾積体電路製造(TSMC)への委託分の一部を自社生産に切り替え、火災があった生産棟で製造していた。経済産業省幹部は「半導体不足を乗り切るための態勢ができつつあったのに。最悪のタイミングだ」と嘆く。
ルネサスでは目下、生産棟の復…
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2021-03-21 21:00:00Z
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