米金融当局が重視するインフレ指標が今週28日に発表されるが、数字次第では円にとって次の大きな痛手になりかねず、日本の通貨当局による円買い介入の引き金にもなる可能性がある。
円は今週に入って対ドルで1ドル=160円を下抜けるかどうかの瀬戸際にあり、年初来の安値をにらむ展開が続いており、日本の通貨当局に対しては円安阻止に向けた措置を促す圧力が強まっている。
ただ、トレーダーらは、28日に発表される米個人消費支出(PCE)価格指数が米国の利下げ見通し、ひいては円の方向性にとって重要な鍵を握ることから、性急な円買い介入はリスクが高いとみている。そのような介入の効果は直ちに打ち消されかねないためだ。
円は対ドルですでに年初から12%程度下落しており、4月から5月にかけて円買い介入が実施された当時のレンジ付近で推移しているが、今週はこれまでのところ、日本の通貨当局による対応はけん制発言にとどまっている。
円は日本時間26日午後1時25分時点で0.1%安の159円82銭となった。一時は159円90銭まで円安が進んだ。
三菱UFJ信託銀行ニューヨークのセールスおよびトレーディング部門責任者、小野寺孝文氏は、「日本の通貨当局は、ドル・円相場がPCE統計の発表前に160円を突破しても、少なくとも結果を待ってから介入を決断するだろう」と指摘。市場の予想を上回る結果となれば、ボラティリティーが高まり、163円に向けて急速にドル高・円安が進行しかねず、当局は流動性が低下する中で「レートチェック」あるいは介入を余儀なくされるとみる。
神田真人財務官は24日、為替介入は「24時間いつでも準備できるようにしている」と述べ、市場をけん制した。日本の通貨当局は4月末から5月にかけて実施した円買い介入ですでに9兆7885億円を投じている。
四半世紀にわたって円を取引してきたATFXグローバル・マーケッツのチーフアナリスト、ニック・トウィデール氏は、「PCEが鍵になるだろう」とした上で、「それ以前に介入を実施するのはかなりクレイジーなことだと言える」と指摘した。
日米間の大幅な金利差が根本的な円安要因になっている状況に変化はなく、一連の介入にもかかわらず円には下押し圧力がかかり続けている。
水準とスピード
シティグループの高島修氏らアナリストはリポートで、日本当局による為替介入の決定が、「一つというより、今や円安のスピードと絶対的な水準という二つの変数に左右される」と分析。つまり、介入が実施される「タイミングと水準に関して、ほぼ無限の可能性」があると説明している。
シティのアナリストは、ドル・円相場が2、3日で急速に162円に接近する展開となった場合、政府・日銀が円買い介入に踏み切るだろうと予想。一方、ドル高・円安がより緩やかなペースで進行すれば、介入が実施される可能性は低いとみる。
介入のタイミングも鍵になりそうだ。28日のニューヨーク市場では、午後の取引終盤で流動性が低下する可能性がある。ペッパーストーン・グループのストラテジスト、マイケル・ブラウン氏によれば、低流動性の低い時間帯に介入すれば、「一段と大きな大きな効果が得られる」という。
一方、28日発表の指標で米国のインフレが引き続き鈍化傾向にあることが確認されれば、金融当局の年内利下げを正当化する材料となり、円安圧力がある程度和らぐ可能性もある。エコノミストの予想では、5月のPCE価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び鈍化が見込まれている。
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「ドル・円相場が心理的な節目の160円突破に近づいている状況を踏まえると、28日に介入が実施される可能性も多少はある」と指摘。その上で、「為替介入が多大な効果を発揮できる市場環境は整っているとみられるが、個人的には今週さらなる大幅な円安進行がなければ、介入がありそうかどうかはまだ確信できない」と話した。
関連記事
原題:‘Crazy’ for Japan to Intervene on Yen Before Friday, Traders Say(抜粋)
(7段落目の後半以降を追加しました)
https://news.google.com/rss/articles/CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjQtMDYtMjYvU0ZOWTE4VDBHMUtXMDDSAQA?oc=5
2024-06-26 02:29:58Z
CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjQtMDYtMjYvU0ZOWTE4VDBHMUtXMDDSAQA
Tidak ada komentar:
Posting Komentar