Jumat, 28 Juni 2024

「紅麹」死者調査の報告3月以降なし、武見厚労相「もう任せておけない」…小林製薬「確認を重視」と釈明 - 読売新聞オンライン

 小林製薬の「 紅麹べにこうじ 」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、同社が摂取との因果関係を調査している76人の死者について、厚生労働省に報告していなかったことが28日、明らかになった。問題の発覚時にも行政への報告の遅れが指摘されており、同社の姿勢に批判の声が上がっている。

 「報告がなかったことは極めて遺憾。もう小林製薬だけに任せておけない。厚生労働省が小林製薬に調査計画を立てさせ、 進捗しんちょく 状況も管理する」。この日、報道陣の取材に応じた武見厚労相は、語気を強めた。

 今回の健康被害を巡っては、小林製薬が1月に「紅麹コレステヘルプ」などのサプリによる健康被害の情報を把握してから、国や自治体に報告するまで約2か月かかったことが問題視された。

 このサプリは機能性表示食品で、問題を受け、政府は5月末、同食品の製造・販売事業者に医師の診断がある健康被害情報を把握した場合、因果関係にかかわらず、速やかな報告を義務づける再発防止策をとりまとめた経緯がある。

 今回、76人の死亡事例の相談が寄せられていることは、厚労省が13日に同社に問い合わせたことがきっかけで明らかになった。厚労省の担当者は「毎日やり取りしており、会社の対応を信頼していた。非常に悲しい」と話した。

 小林製薬は、問題発覚後の3月29日の記者会見で「我々がやるべきことは、被害を受けた患者や不安を感じている方に情報を提供することだ」などと述べ、患者らの不安 払拭ふっしょく のために、情報開示を進めていく方針を示していた。

 同社に寄せられた相談を基に、死者数や入院者数、医療機関の受診者数を厚労省に報告していた。だが、3月29日に関連が疑われる死者数を5人と発表して以降、2か月余りにわたって、この5人以外の死者に関する情報は、一切報告していなかった。

 同社は28日、取材に対し、報告をしていなかった理由について「確認手続きが完了していなかった。詳細な確認を(した後で報告することを)重視していた」と釈明した。

 死者に関しては、これまでは摂取との関連性が疑われる腎関連疾患と診断されたケースに限っていた報告の対象を、がんや肺炎など他の疾患の診断などにも広げたという。

 同社はこの日、記者会見を開かなかった。理由については「伝えたい内容が多岐にわたり、正確かつ同時に知らせるには、文書による発表が適切だと判断した」と回答した。

 小林製薬は、この問題に関する補償対応本部を新設することも発表した。

 健康被害が報告された同社のサプリを2年間摂取していたという横浜市の会社員男性(64)は「関連が疑われる死者が多くいるのに公表してこなかったのは不誠実で、大手企業として問題だ」と話した。3月下旬に通販購入分の返金手続きを行ったが、返金されていないといい、「全てが遅い」とあきれた様子だった。

  太田肇・同志社大教授(組織論)の話 「死亡事例の公表の遅れは、原因究明の遅れに直結する。小林製薬は少しでもリスクを把握した段階で報告すべきだった。最初の健康被害を把握してから公表まで2か月余りかかった初動対応に続き、情報発信への消極的な姿勢が改善されておらず、重大な社会問題と認識できているか疑わしい」

 台湾紙・自由時報によると、小林製薬の「 紅麹べにこうじ 」成分入りのサプリメントの健康被害問題で、台湾消費者保護協会は27日、摂取した後に体調不良を訴えた約30人が同社の子会社「台湾小林製薬」を相手取って集団訴訟を起こし損害賠償を求めると明らかにした。

 報道によると、台湾当局は6月14日までに60件以上の被害を確認している。同協会は、被害者に訴訟への参加を呼びかけている。

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2024-06-28 20:00:00Z
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