米中の技術覇権争いは別次元に突入した。米政府が、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出などを禁止したのだ。民間の取引から同社を排除する“鉄拳制裁”の巻き添えを食う日本企業も出てきそうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文、新井美江子、土本匡孝)
● 従来とは異次元の厳しさ
米国は、ファーウェイ攻撃の手を緩めるつもりはないらしい。5月15日、ファーウェイなど中国企業を想定した制裁を新たに発表したのだ。
かねて米国はファーウェイが「通信機器を悪用してスパイ行為をしている」と主張してきたものの、ファーウェイを米国の政府調達から締め出すレベルにとどまり、制裁の対象は限定的ではあった。
そのためか、米国は同盟国ら諸外国にもファーウェイ製品を通信ネットワークに使用しないよう求めてきたが、英国やドイツが同社製品の導入を容認するなど足並みはそろわなかった。
だが、今回の制裁措置は次元が違う。制裁の対象を、ファーウェイと企業との民間取引にも拡大。米国は企業に取引停止を迫ることで、グローバルに広がるファーウェイのサプライチェーンを断ち切る強硬手段に出たのだ。
そして、新たな制裁措置はファーウェイの息の根を止めかねないだけではなく、日系企業にも多大なインパクトを与えるものだ。
● 異次元制裁、二つのポイント
制裁のポイントは二つある。一つ目は、ファーウェイ製品が米国へ入り込むのを止める規制(インバウンド規制)だ。
ファーウェイが名指しされているわけではないが、米国にとって安全保障上の脅威となる外国企業の通信機器の使用を止めるというもの。具体的には、米通信キャリアがファーウェイ製の基地局を使うことなどを禁じる。ファーウェイから見れば、米国市場から締め出しを食らったも同然だ。
日本企業で影響を受けるのは、ソフトバンクなどの通信事業者、通信機器メーカーである。米企業への措置ではあるが、同盟国である日本に対して、「米国通信業界に倣い、ファーウェイ排除の方針をとるよう同調圧力が強まる」(経済産業省幹部)リスクがある。
二つ目は、ファーウェイ製品に米国の製品、技術が使われるのを止める規制だ。つまり、米国から技術が流出しないための輸出規制(アウトバウンド規制)である。
米産業安全保障局(BIS)が管理するエンティティリスト(EL。いわゆるブラックリスト)にファーウェイの日本法人を含む関連会社68社が追加された。
ファーウェイのスマートフォンや通信機器には、米国製の半導体やソフトウエアが多数使用されており、それらが調達不可能になる。
この輸出規制はすでに発効済みだ。ファーウェイに部品などを供給する米国企業(半導体のクアルコム、ソフトウエアのオラクル、マイクロソフトなど)が製品の出荷を見合わせているとみられる。
まず、日本企業で影響を受けるのは、ファーウェイに部材を納入するサプライヤー約100社だろう。その調達額の合計は、2018年で66億ドル(7300億円)、23年までに200億ドル(2.2兆円)に達する見込みだ。
例えば、日本企業がファーウェイのスマホ向けに電子部品モジュールを提供する場合、そのモジュールの付加価値の25%超が米国企業由来のものならば「再輸出」と見なされ、中国への輸出には米政府の許可が必要になる。
また、一つ目のインバウンド規制と同様で、ファーウェイへの輸出を増やす日本に対して米国から圧力がかからないともいえない。日本の部材メーカーは、中国へ輸出する際にも米国への“一定の配慮”が必要になるということだ。
しかも、BISのELには、ファーウェイ以外の「中国の懸念企業」が追加される公算が大きい。
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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190523-00203400-diamond-bus_all
2019-05-25 09:03:56Z
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