【ワシントン=高見浩輔】米労働省が10日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇した。ガソリン価格が前月から下がり、伸び率は約40年半ぶりの大きさだった6月の9.1%から縮小した。米経済は4~6月まで2四半期続けてマイナス成長となったが、賃金の上昇などを背景に値上がりは広がっている。インフレ圧力は根強く残る可能性がある。
事前の市場予想は8.7%の上昇だった。伸び率は3カ月ぶりに縮小した。前月比では横ばいとなり、20年6月以降続いていた上昇がとまった。エネルギーと食品を除く指数の上昇率は前年同月比5.9%で前月から横ばい。予想は6.1%の上昇だった。家賃を中心とする住居費の価格が5.7%上昇した。
ニューヨーク連銀が8日発表した7月の月次調査ではガソリンの値下がりを反映して、消費者が予想する1年先と3年先の物価上昇率が低下した。前年同月比でみた物価上昇率はピーク越えが近いとの見方がある。
ただ、物価上昇率が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%まで下がるペースは鈍くなりそうだ。「粘着性のある家賃が上昇している」。2日、シカゴ連銀で朝食会を開いたエバンス総裁はこう言って表情を曇らせた。粘着性とは、需給が変動しても価格が動きにくいことを示す経済用語だ。
家賃や外食の価格が代表例で、こうしたモノやサービスの価格上昇は一度速まると下がりにくく、根深いインフレ圧力になる。アトランタ連銀がそうした「粘着価格」を集めてつくった消費者物価指数は6月、1年間の上昇率が5.6%に達した。1991年2月以来、約31年ぶりの水準で、まだ加速が止まらない。
物価が急騰を始めてから1年余りがたち、時間あたり賃金も今年に入って前年同月比5%超の高い伸びが定着した。賃上げがさらに加速すれば家計の購買力が回復して物価が上がる要因となる。さらに企業が人件費を商品価格に転嫁する動きも強まりかねない。
FRBの金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者は6月時点の経済見通しで、個人消費支出(PCE)の前年同月比上昇率が22年末時点の5.2%から23年末には2.6%に縮むと予想した。インフレ率がこの予想を上回る勢いで推移すれば、FRBは米経済が一段と減速しても利下げによる景気刺激に踏み込めなくなる可能性がある。
10日午前のニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が急騰し、一時1ドル=132円台前半を付けた。7月の消費者物価上昇率が市場予想を下回り、物価の伸びがピークアウトしたとの見方からFRBによる大幅利上げの観測が急速に後退した。幅広い通貨に対してドル売りが膨らんだ。
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2022-08-10 12:42:11Z
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