Rabu, 28 Juni 2023

米銀、不動産融資などで最大78兆円損失も FRB審査 - 日本経済新聞

【ニューヨーク=斉藤雄太】米連邦準備理事会(FRB)は28日、米国内で相対的に規模の大きい23の銀行を対象にしたストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。個人や不動産向け融資の焦げ付きが膨らむ厳しい不況下では計5410億ドル(約78兆円)の損失が生じうると試算した。それでも全行が規制上必要な自己資本の水準を維持し、家計や企業への融資を継続できると評価した。

ストレステストは年に1回の頻度で実施している。仮想の不況シナリオのもとで銀行にどの程度の損失が生じ、損失を吸収する自己資本をどれだけ維持できるかを測定する。今回は今後2年間で商業用不動産や住宅の価格がそれぞれ約4割下落し、足元で3.7%の失業率がピーク時に10%まで跳ね上がるような不況を想定した。

こうした厳しいシナリオでは商業用不動産向け融資や住宅ローンの貸倒損失が23行合計で1000億ドル規模で生じるほか、家計の資金繰り悪化でクレジットカード向けの損失も約1200億ドルに達する。全体では5410億ドルの損失が発生し、普通株などの中核的な自己資本比率は2022年10〜12月期の実績から2.3ポイント低下して10.1%に落ち込む。その場合も23行すべてが規制上で最低限必要な資本要件を上回るという。

ストレステストはJPモルガン・チェースなどの大手銀行のほか、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループといった大手地銀、英バークレイズなど海外の金融大手の米国法人を対象に実施した。資産1000億〜2500億ドルの中堅銀行は2年に1度の実施になるため、今年の対象行は昨年の33行より少なかった。邦銀も含んでいない。

米国では3月以降にシリコンバレーバンクなどの地銀が相次ぎ破綻し、銀行システムの健全性に不安が広がった。FRBなどの米金融当局は今回のストレステストの結果とは別に、大手行や中堅行に自己資本のさらなる上積みを求める規制強化を検討している。ストレステストの対象拡大なども視野に入れる。

FRBのバー金融監督担当副議長は声明で「我々は銀行が様々な経済シナリオや市場ショック、その他のストレスに対して強靱(きょうじん)であることを保証するための作業を継続すべきだ」と表明した。

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2023-06-28 20:59:27Z
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