20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は9日、福岡市での2日間の討議を終え、共同声明を採択して閉幕した。米中貿易摩擦が激化する中、声明では貿易と地政を巡る緊張が増大してきたとした上で、世界経済の下振れリスクが高まった場合、さらなる行動を取る用意があると明記した。
共同声明は、世界経済の成長が「足元で安定化の兆しを示している」としながらも、「成長は低位であり、リスクは依然として下方向に傾いている」と指摘。貿易・地政学的緊張の高まりなどのリスクに引き続き対処し、「さらなる行動を起こす用意がある」と宣言した。
会見後記者会見した麻生太郎財務相は、「今回のG20通じ団結と相互理解の精神を再確認できた」と評価した上で、世界経済への下方リスクへの対処として明記した「さらなる行動」について、「各国によって状況は違う。日本として直ちにやらねばならぬという情勢にあるとは考えていない」と説明した。一緒に会見した黒田東彦日本銀行総裁は「各国が状況に応じてリスク顕在化したら対応する」ことだと指摘した。
為替相場に関しては、昨年3月のブエノスアイレス声明に盛り込んだ「為替相場のコミットメント」を再確認した。ブエノスアイレス声明では「通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない」と明記していた。
貿易を巡る議論が関心を集めた今回のG20声明では、国際的な貿易・投資が成長、生産性、イノベーション、雇用創出と開発のための重要なエンジンであることを改めて強調。多角的な貿易体制が果たしてきた貢献を認識する一方で、改善の余地があることなどを指摘した昨年のブエノスアイレス・サミットでの貿易に関する首脳の合意を再確認した。
貿易摩擦の背景にあるグローバルインバランスでは、「対外収支を評価するにあたってはサービス貿易・所得収支を含む経常収支の全ての構成要素に着目する必要があることに留意する」と指摘。米国との貿易交渉が進行中の日本の主張が盛り込まれた形で、麻生財務相は「貿易収支だけで議論したり、二国間だけで議論してもなかなか解決できない」と会見で語った。
デジタル課税を含む国際租税に関しては、国際的に活躍する巨大IT企業の租税回避を防ぎ、新たな課税方法を協議する経済協力開発機構(OECD)の作業計画を承認。「2020年までの最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策のための取り組みをさらに強化する」としている。
閉幕に先立ち、9日午前に麻生財務相とムニューシン米財務長官が会談。ムニューシン長官は会談後に自身のツイッターで、福岡G20での麻生太郎副総理兼務相のもてなしに感謝を伝えたとした上で、「多くの経済や安全保障の問題にわたる両国の緊密な関係の継続について協議した」と明らかにした。麻生財務相は閉幕後の会見で、貿易交渉を巡る為替条項については今回の日米会談で取り上げられなかったと述べた。
(声明や閉幕後の会見内容を追加して再構成して更新しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-09/PSTME36JTSE801
2019-06-09 09:22:00Z
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