日本郵政傘下のかんぽ生命保険が契約者の負担増につながる保険商品を販売していたことが24日分かった。ゆうちょ銀行でも高齢者への不適切な投資信託の販売が発覚した。いずれも完全民営化を見すえた高い販売目標が一因とみられる。郵政グループはノルマ営業の見直しを進める。
郵政の長門正貢社長は同日の記者会見で、ゆうちょ銀の不適切販売について「担当者も管理者も社内ルールを守っていなかった。大変申し訳ないと感じている」と陳謝した。かんぽ生命の販売に関しては「反省している」とは語ったが、不適切とは認めなかった。
かんぽ生命の室隆志執行役営業推進部長は「不利益事項も説明し、顧客が納得したうえで契約している。不適切なものはないと認識している」と述べた。
かんぽ生命は過去の契約を新しい契約に変更する「乗り換え」で、契約者に不利益となることが疑われる事例があった。2018年11月に2万1千件あった契約乗り換えを調査したところ、5800件で契約者の負担が増えた可能性がある。終身保険を解約し、新たな終身保険を契約し直した結果、契約時点の年齢上昇や予定利率の引き下げにより保険料が上がるといったケースが確認された。販売は委託先の各地の郵便局で行われた。
ゆうちょ銀は233の直営店の9割で高齢者に投信販売を勧誘する際の健康状態や金融商品への理解度の確認を怠っていた。社内ルールでは勧誘時と契約時の2度にわたって販売担当者が店長などの管理者に了解を得ることになっているが、これを契約時の一回きりの了解で済ませていた。契約件数の4割でルールに違反していた。
かんぽ生命株は65%程度、ゆうちょ銀株は89%を郵政が持っている。郵政民営化法では完全売却が目標となっている。金融2社が商品の販売を強化するのは完全民営化に向けて収益基盤を安定させたい事情がある。
長門氏は記者会見で過重な営業ノルマをなくしていく方針を強調した。「販売成績だけよければいいということが決してないような評価にしていきたい」と語った。
日銀がマイナス金利を導入して以降、ゆうちょ銀とかんぽ生命の資産運用の収益は低迷している。特に貸し付けのできないゆうちょ銀は収益の9割以上を運用に依存している。手数料収入の積み増しで打開しようとしてきたが、柱の一つだった投信販売が社内ルールの不徹底でつまずいた。新たな収益源を確立できないままだと経営の存続すら危うくなる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46501140U9A620C1EA1000/
2019-06-24 13:58:00Z
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