7日の米国株相場は3日続落。朝方発表された6月の雇用統計は、米金融当局がインフレ抑制に向けてタカ派姿勢を強めるとの懸念を和らげる内容となったものの、主な株価指数は終盤にかけて売りが優勢となった。
週間ではS&P500種株価指数が1.2%、ナスダック100指数は0.9%それぞれ下落した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4398.95 | -12.64 | -0.29% |
ダウ工業株30種平均 | 33734.88 | -187.38 | -0.55% |
ナスダック総合指数 | 13660.72 | -18.32 | -0.13% |
雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想に届かなかったものの、物価抑制を目指す米金融当局にとって、賃金の上昇圧力がなお脅威となっていることが示された。前日発表された民間雇用データはあと数回の利上げもあり得るような労働市場の力強さを示す内容となったが、雇用統計では水面下で労働市場にほろこびが出ていることも明らかになった。市場は足元、今月の利上げは織り込んでいるものの、年内あともう1回の利上げ確率は50%を割り込んでいる。
米雇用者数、6月は伸び鈍化-賃金はなお力強い労働市場を示唆 (3)
7月の米利上げに「青信号」、FOMC予測に反して賃金の伸び加速
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は6月の雇用統計について十分に弱い内容とは言えないと話す。「雇用の伸びは鈍化したが、米金融当局による当面の利上げ見送りを正当化するほどではない」と指摘。その上で「より重要なことに平均時給の伸びが上振れし、賃金圧力がなお根強いことを示した。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げしない理由は今回の統計には見当たらない」と述べた。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏によると、賃金が前月比0.4%伸びたことは、雇用主が依然として人材確保に苦戦していることを示唆している。そのため「米金融当局が今月、利上げを決めるのはほぼ確実だ」という。
個別銘柄では、ジーンズブランド「リーバイス」を展開するリーバイ・ストラウスが急落。通期見通しを引き下げたことが嫌気された。半面、新興電気自動車(EV)メーカーのリビアン・オートモーティブは8営業日続伸した。
リビアン大幅高、8営業日続伸へ-ウェドブッシュが目標株価引き上げ
米シカゴ連銀のグールズビー総裁は7日、7月のFOMC会合での利上げを支持するには至らず、同会合までに精査するべき数週間分のデータがまだあると話した。グールズビー総裁は今年のFOMCで議決権を有している。
シカゴ連銀総裁、リセッション起こさずにインフレ抑制する軌道にある
米国債
米国債相場はまちまち。2年債利回りが約5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下するなど、短期債がアウトパフォームした。雇用統計の発表直後は2年債利回りが一時12bp低下したが、すぐに長期債を中心に流れが反転。10年債と30年債の利回りは年初来の高水準をつけた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.05% | 4.6 | 1.14% |
米10年債利回り | 4.06% | 3.3 | 0.81% |
米2年債利回り | 4.95% | -3.1 | -0.61% |
米東部時間 | 16時46分 |
米雇用統計後の国債買い続かず、10年債と30年債利回りは年初来高水準
外為
円が対ドルで3月以来の大幅高。6月の米雇用者数の伸びがおよそ1年ぶりに市場予想を下回り、ドルは幅広い通貨に対して売られた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1226.82 | -8.38 | -0.68% |
ドル/円 | ¥142.10 | -¥1.97 | -1.37% |
ユーロ/ドル | $1.0966 | $0.0077 | 0.71% |
米東部時間 | 16時47分 |
円はショートカバーを巻き込みながら、一時1.4%高の1ドル=142円07銭まで買われた。これは6月22日以来の高値で、上昇率は3月以来の大きさとなった。
ドルが下落、142円台前半-米雇用統計受け追加利上げ観測やや後退
一方、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は3月以来の大幅な下げとなった。
円のキャリートレード戦略を見直す動きが出ており、この日の円高加速につながった。緩和政策を続ける日本銀行と、急ピッチの利上げを進める他の主要中銀とのかい離が顕著となる中、円は今年に入り大きく売られており、円のショートポジションが積み上がっていた。
ジェフリーズの為替ストラテジスト、ブラッド・ベクテル氏は「円キャリートレードが完全に解消されることはまだないと思うが、第2四半期(4-6月)にかなり進んでいたので、これは利益確定か、ポジション調整だ」と指摘。「ボラティリティーが高止まりすれば、巻き戻しが続くだろうが、安定の兆しが出れば、キャリートレードの積極派はすぐに飛びつくだろう」と述べた。
「ミスター円」の異名を持つ榊原英資元財務官は6日、円安が加速して対ドルで160円を割り込むことさえあるかもしれないとの見方を示した。その上で、日本の通貨当局は「円を強くするため介入したくなる可能性がある」と述べた。
「ミスター円」榊原氏、1ドル=160円割り込む円安進行も (1)
原油
ニューヨーク原油相場は週間ベースで2週連続高。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」のリーダー格、サウジアラビアとロシアが発表した供給削減が現物市場に広く影響していることが確認された。
リスクオンのセンチメントも原油価格を支えた。2週連続高となったのは5月の後半以来。期近の限月スプレッドは小幅な逆ざや構造に転じ、強気の価格パターンを描いた。
サウジは6日、全ての輸出先を対象に主力油種であるアラビアンライトの公式販売価格(OSP)を引き上げた。これを受けて大西洋海盆の製油所は代替原油を求め、ノルウェーの北海原油価格が急伸した。
サウジ、日量100万バレルの自主減産を継続-ロシアは輸出削減へ (2)
今年の原油価格は前年水準を約10%下回っている。金融引き締めに加え、中国経済回復の足取りが鈍く、ロシアの輸出が大きく減っていないことが先物価格を圧迫している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比2.06ドル(2.9%)高い1バレル=73.86ドルで終了。1カ月ぶりの高値で引けた。ロンドンICEの北海ブレント9月限は同1.95ドル上昇の78.47ドル。
金
ニューヨーク金相場は反発。6月の米雇用者数が予想ほど増加しなかったことを受けて、今月のFOMC会合が過ぎた後も利上げが続くとの懸念が後退した。
利上げがさらに続くとの見方から、金相場は5月上旬の高値から約7%下げていた。週間では小幅に上げた。先週までは3週連続で下げていた。市場の焦点は来週発表される米物価統計に移る。11カ月連続で物価圧力の弱まりが示されると予想されている。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時50分現在、前日比0.8%高い1オンス=1925.98ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は同17.10ドル(0.9%)上昇の1932.50ドル。
原題:US Stocks End Week Lower After Slew of Jobs Data: Markets Wrap(抜粋)
US Stocks Set to End Week Lower After Jobs Data: Markets Wrap(抜粋)
Yen Rallies Most Since March as Traders Unwind Short Positions(抜粋)
Treasuries Mixed on Jobs; Steepening Resumes Amid Block Trades(抜粋)
Yen Rallies Most Since March as Traders Unwind Short Positions(抜粋)
Oil Reaches Monthly High as OPEC+ Leaders Tighten Crude Exports(抜粋)
Gold Rises After Weak US Data Takes Pressure Off Fed to Hike(抜粋)
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2023-07-07 20:57:00Z
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