米金融当局にとって現在の株高は行き過ぎだろうか。3カ月に及ぶ相場上昇が当局の取り組みへの圧力となる中、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって、この疑問はますます切迫したものとなっている。
米株式市場は連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に数回にわたる利下げを開始するとの不確実な観測に後押しされている。S&P500種株価指数は26日に小反落したが、前日まで5営業日連続で最高値を更新し、株主価値が8兆ドル(約1190兆円)膨らんだ。同指数の連騰を受け、金融状況が2022年初め以降で最も緩んだ状態になっていることをブルームバーグ米国金融状況指数は示している。
政策当局者がこのことに言及することはまれだが、株高と、それがウォール街内外に与える豊かさの感覚は、消費と投資のサイクルを一層後押しすることで、インフレ抑制の取り組みに逆行する可能性を秘めている。全米経済研究所(NBER)のウェブサイトに最近掲載された研究では、株価は金融状況に最も大きな影響を与えるものであり、この状況を左右させることは金融政策の重要なチャンネルだと分析している。
来週のFOMC会合でハト派的なシグナルが発せられれば、強気派が歓迎するのは間違いないが、早過ぎる金融緩和は危険を伴う。市場の過熱で生じ得る「資産効果」が、過剰な物価上昇圧力を抑えようとするFRB議長の取り組みに逆行することだ。
ロイトホルト・グループの最高投資責任者、ダグ・ラムジー氏は、「完全雇用の状態で、株式市場を通じて富が大幅に増加した場合、直感的には、よりインフレ的になると考えられる」と指摘。「FRBの利下げを期待した株式相場の上昇は、それ自体が一種の緩和だ。皮肉なことに、それが今後数カ月の利下げの確率を下げる可能性がある」と述べた。
S&P500種は5日間で1%上昇し、この13週間で12回目の週間ベースの上昇を記録した。この上げでマネー・債券・株式市場の引き締まり状況を測る金融状況指数が大幅に緩んだ。実際、ブルームバーグの指標によれば、FRBが約2年前に積極的な政策引き締めに乗り出す前よりも投資環境は緩和的になっている。
今後の金利低下に焦点が移る中、住宅ローンのコストは低下し住宅購入者を引き付けている。株価の最高値更新は個人消費に好影響をもたらす可能性がある。連邦準備制度の直近データによると、昨年7-9月(第3四半期)の米家計の株式保有残高は43兆ドルで、金融資産の38%を占めた。
ドイツ銀行のマクロストラテジスト、ヘンリー・アレン氏によれば、米金融当局がハト派的なスタンスに傾く上で、良好な金融状況と予想より好調な経済統計がハードルとなる。同氏は、23年初めに雇用統計が好調を維持しインフレが続いていた時、パウエル議長が議会公聴会で「利上げペースを加速させる用意がある」と発言したことを思い起こす。
パウエル氏は利上げサイクル局面で、全体的な金融状況が「われわれが実施している政策引き締め」を反映する重要性に数回にわたって触れている。
アレン氏はリポートで、「インフレ率が現在、目標にかなり近づいているのは明らかであり、当時と今日の状況が完全に同じというわけではないが、金融状況の緩和がインフレ再加速の土台を築くリスクはある」と指摘。「現在のサイクルで、FRBは金融状況が緩んだ際、よりタカ派的に転じている」と分析した。
ヤルデニ・リサーチ創設者のエド・ヤルデニ氏は、「人々は自分のポートフォリオに満足を感じると、より多くの消費をする傾向にある。資産効果は確かに経済活動を刺激し得る」と指摘。「リスクは、FRBにとって物価インフレの頭痛の種から資産インフレの頭痛の種に移行することだ」と述べた。
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原題:Hot Stock Rally Stirs Fears Over Wall Street’s Big Rate-Cut Bets(抜粋)
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2024-01-27 02:12:02Z
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