【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国債などの資産を購入する量的緩和縮小(テーパリング)の加速を決めた。終了時期の想定を22年6月から同3月へ前倒しし、22年中に計3回の政策金利の引き上げを見込む。インフレが長引き、1カ月前に始めたばかりの緩和縮小を速める異例の軌道修正を迫られた。
パウエル議長が会合後に記者会見し「経済活動は力強く拡大している」と述べ、物価の安定を守ると強調した。利上げはテーパリングの終了後になるとし、利上げの条件となる「最大雇用」と評価できる水準に労働市場が近づいているとの認識を示した。
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テーパリング終了から利上げまで「それほど長く待つ必要はないだろう」と語った。物価を押し上げている供給制約が早期に解消されることに引き続き期待を示した。新型コロナウイルスの変異型を巡る不確実性があると指摘した。
FOMCは今回、インフレは「一時的」との表現を声明から削除した。11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が6.8%と約39年ぶりの高水準に達し、人手不足から失業率は4.2%まで下がった。想定を超える物価高に政策対応が後手に回る恐れが強まっていた。
今回、11月の前回FOMCで決めたテーパリングの終了時期を当初想定より3カ月早めた。もともと米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の計1200億ドルの購入月額を計150億ドルずつ減らす計画だった。22年1月から削減額を2倍の計300億ドルとし、同3月に購入額をゼロにする。利上げ時期を早める余地を広げる狙いがある。
今回のFOMCは正副議長や理事、地区連銀総裁ら参加者18人がそれぞれ中期の経済・政策見通し(SEP)を提示した。22年にゼロ金利を解除し、計3回利上げするとの予想が中央値となった。前回9月の予想(0.5回)から引き締めを急ぐ姿勢に傾いた。
次いで23年3回、24年2回と3年間で計8回の利上げを想定し、9月時点の計6.5回を上回った。景気を冷やしも熱しもしない長期的な政策金利は2.5%と前回と同水準を見込んだ。米金利先物市場は22年に利上げが3回となる可能性を織り込んでいる。
21年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比5.5%増えると予測し、前回予測(5.9%)から下方修正した。22年は4.0%、23年、24年はそれぞれ2.2%、2.0%の成長を見込む。
物価上昇率は21年10~12月期に5.3%を見込み、前回予測から1.1ポイント上方修正した。22年に2.6%、23年以降に目標の2%をやや上回る水準に落ち着くとした。失業率は21年に4.3%、22年以降は3%台に低下し、長期的に4%で均衡するとみた。
14~15日に開いたFOMCはゼロ金利政策の維持を決め、短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を0~0.25%に据え置いた。投票権を持つパウエル議長ら11人の全会一致で決めた。
新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染が広がり、供給網に新たな目詰まりを起こしたり、消費活動を下押ししたりするリスクがある。
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2021-12-15 19:04:04Z
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