30日の米国株式相場は大幅反発。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けて、幅広い銘柄に買いが入った。パウエル議長は早ければ12月にも金融引き締めペースを落とす可能性が高いことを示唆する一方で、インフレ抑制のためにはさらなる利上げが必要だと強調した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 4080.11 | 122.48 | 3.1% |
ダウ工業株30種平均 | 34589.77 | 737.24 | 2.2% |
ナスダック総合指数 | 11468.00 | 484.22 | 4.4% |
楽観ムードが広がる中、S&P500種は2カ月ぶりの高値で引けた。月間ベースでは2021年8月以来の長期上昇局面を記録。200日移動平均を上抜けたことで、一部のアナリストは一段高を予想している。ナスダック100指数の上昇率は4.5%を上回り、ダウ平均は9月安値から約20%値を戻した。
パウエル氏は「利上げペースを落とす時期は早ければ12月の会合になる可能性がある」と述べた。
今回の発言を受けて、12月13-14日の次回FOMC会合で政策金利が50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げられるとの観測が強まる可能性が高い。FOMCは4会合連続で、政策金利を75bp引き上げた。
政策金利は9月に想定していたより「いくらか高い」水準まで上昇する公算が大きいとも、パウエル議長は述べた。
インモビリアーレ・クアドロンノのロベルト・バニャート氏は「きょうの上昇はおかしい。パウエル氏はペースを落とすとは言ったが、過去に想定されていたよりも高い水準に金利は上がらなくてはならないと述べた」と指摘。「市場は議長講演の最初の部分だけに耳を貸したいようだ」と続けた。
パウエル議長の講演に先立ち、クックFRB理事は別の講演でインフレを抑制するために政策金利をどこまで引き上げるべきなのかを見極めながら、利上げ幅を小幅にしていくことが賢明になるとの見解を示した。
7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.9%増。別の主要指標である国内総所得(GDI)は0.3%増加した。10月の米求人件数は前月比で減少し、経済全体の需要抑制を目指す米金融当局にとっては明るい兆しとなった。
12月2日に発表される11月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が20万人増加、失業率は3.7%で横ばい、平均時給の伸びが鈍化すると予想されている。
米国債
米国債相場は全ての年限で上昇。パウエル議長が来月にも利上げペースを落とす可能性を示唆したことを受けて、中・短期債が買いを集めた。金融政策への感度が高い2年債利回りは一時15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて4.32%を付けた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 3.74% | -5.7 | -1.5% |
米10年債利回り | 3.61% | -13.7 | -3.7% |
米2年債利回り | 4.33% | -14.5 | -3.2% |
| | 米東部時間 | 16時42分 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は「パウエル議長は今月のFOMCで述べたようなタカ派のトーンを繰り返すと市場は予想していたため、この日の発言は歓迎された」と指摘。「タカ派のハンマーは振り下ろされなかった」と続けた。
外為
外国為替市場ではパウエル議長講演を受けてドルが下落。朝方は10月の米求人件数の減少を受けて、ドル指数は0.2%上昇していた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1270.05 | -9.48 | -0.7% |
ドル/円 | ¥138.05 | -¥0.58 | -0.4% |
ユーロ/ドル | $1.0407 | $0.77 | 0.7% |
| | 米東部時間 | 16時42分 |
ブルームバーグ・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「パウエル議長は労働者不足を350万人と推計しており、その大半は早期引退を反映しているため、労働市場に戻ってくる兆候はほぼ見られないと述べた。労働力の増加は予見されていないため、賃金の伸びが沈静化するには、失業率の上昇は不可避のようだという考えをほのめかしている」と解説した。
ドルは月間ベースで2009年以来で最悪の下げに向かっている。
原油
ニューヨーク原油先物相場は大幅続伸。中国で新型コロナウイルス関連規制がさらに緩和されるとの観測が広がった。この日の米政府統計が記録的な輸出需要と原油在庫の大幅減を示したことも買いを誘った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限は、前日比2.35ドル(3%)高の1バレル=80.55ドル。ロンドンICEの北海ブレント1月限は2.40ドル高の85.43ドル。同限月はこの日が最終取引日。
米エネルギー情報局(EIA)が公表した統計によると、先週の原油在庫は1260万バレル減。この落ち込みは市場予想よりも大きく、2019年6月以来の大幅減となった。原油および石油製品の輸出は記録的水準に拡大した。
オアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は「中国でコロナ規制が徐々に緩和され、石油輸出国機構(OPEC)が現状方針を維持した場合、あと5-10%の価格上昇もあり得る」と語った。
金
金スポット価格は続伸。パウエルFRB議長発言後のドル急落と米国債相場持ち直しが追い風となった。ニューヨーク時間午後2時43分現在、スポット価格は前日比0.9%高の1オンス=1766.28ドル。月間ベースでは2021年5月以来の大幅上昇となった。
パウエル議長は講演で、早ければ来月にも政策引き締めペースを減速させると示唆した。ヘレウス・プレシャス・メタルズのシニアトレーダー、タイ・ウォン氏は「パウエル氏の利上げ減速に関する発言はハト派的だと市場は受け止めている。市場が聞きたがっているコメントだ」と指摘した。
ニューヨーク金先物は反落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は3.80ドル(0.2%)安い1759.90ドルで終了した。
原題:Stocks Roar as Traders Cut Bets on Fed Peak Rate: Markets Wrap
Bond Traders Cut Expectations for How High Fed Rates Need to Go
Dollar Slides; Powell Signals Slowdown in Hike Pace: Inside G-10
Gold Advances as Powell Signals Downshift Likely Next Month
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2022-11-30 21:44:00Z
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