Kamis, 10 November 2022

米CPI、総合・コアとも伸びが予想下回る-利上げ減速の余地 - ブルームバーグ

米国では10月、インフレが市場の予想以上に鈍化した。数十年ぶりという物価上昇が勢いを弱めつつあるとの期待を持たせる内容で、米金融当局にとっては急激な利上げを減速させる余地が生まれた格好だ。

キーポイント
  • 10月の総合消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%上昇
    • 今年1月以来の低い伸び
    • 9月(8.2%上昇)から伸び鈍化
    • 市場予想は7.9%上昇
  • 変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6.3%上昇
    • 40年ぶり高水準だった9月(6.6%上昇)から減速
    • 市場予想は6.5%上昇
Consumer price growth slows in October in welcome news for Fed

上段:総合CPI前年比(オレンジ)、コアCPI前年比(白) 下段:コアCPI前月比

出所:米労働統計局

  前月比ではコアCPIが0.3%上昇。総合は0.4%上昇した。伸びは共に市場予想の中央値を下回った。

  ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「今回の統計の基調的な要素は良好で、明るい内容だ。インフレがピークから下げつつある兆候がやや見られる」と指摘した。

  コアCPIの伸び鈍化は歓迎すべきニュースではあるが、インフレは金融当局を満足させるには依然として高水準過ぎる。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今月、当局として前月比でのインフレ指標が着実に鈍化するパターンを目にする必要があると述べている。また政策金利のピーク水準は当局の当初想定よりも高くなる可能性が高いとの見解も示している。

  10月は医療サービスと中古車の価格指数が前月比で低下し、それがコア指数の伸び抑制につながった。総合CPIでは、住居費の上昇が指数全体の伸びの半分余りを占めた。

CPIに関するブルームバーグTVのリポート

Source: Bloomberg

  今回のCPIを受け、短期金融市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅について、0.75ポイントよりも0.5ポイントの織り込み度合いが強まった。また来年の政策金利のピーク水準の予想は5%を下回った。

  次回のFOMC会合は12月13、14両日に開催され、それまでにCPIと雇用統計の発表があと1回ずつ予定されている。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「10月のコアCPI減速により、米金融当局のハト派は今後利上げペースを減速させる強力な正当性を得たことになる」と指摘した。

  住居費は前月比0.8%上昇と、1990年以来の高い伸び。ホテル宿泊費がここ1年余りで最大の上昇となったことが背景にある。住居費はサービス分野の最大項目で、総合CPIの約3分の1を占める。

  食品とエネルギー、住居を除いたベースでは、CPIは0.1%低下した。

  食品価格は前月比で伸びが鈍化し、中古車は2.4%低下。ガソリンは4%値上がりした。一方、医療保険は4%低下と過去最大の値下がり。

  高インフレは消費者の購買力を低下させている。CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は10月に前年同月比2.8%減少。21年4月からの減少局面が続いている。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Inflation Slows More Than Forecast, Gives Fed Downshift Room(抜粋)、US Oct. CPI Rose 0.4%, Below Estimate(抜粋)

(エコノミストのコメントなどを追加して更新します)

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2022-11-10 13:36:31Z
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