Kamis, 10 November 2022

米国株が急反発、円は140円台に急伸-CPI予想以上に鈍化 - ブルームバーグ

10日の米株式相場は急反発。米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想以上に鈍化したため、金融当局が利上げペースを減速させることが可能になったとの見方から、幅広い分野で買いが膨らんだ。

  ドルは大幅安となり、対円では1ドル=140円台まで急落した。

円が対ドルで3%超上昇、141円台半ば-予想下回る米CPIで (2)

  • 米国株は急反発、CPI鈍化で利上げ減速の思惑
  • 米国債は大幅高、10年債利回り3.82%に低下
  • ドル指数が約10年ぶりの大幅安-ドル・円は140円台
  • NY原油は反発、米インフレ鈍化で広範な金融市場が上昇
  • 金は大幅反発、米CPI発表後に利上げ減速観測・ドル下落

  S&P500種株価指数はCPI発表当日として、データの残る2003年以来の大幅高となった。構成銘柄の約96%が上昇。空売りしていた投資家が踏み上げに遭い、値動きが増幅された。暗号資産(仮想通貨)取引業者、米FTXを巡る混乱が続いているにもかかわらず、仮想通貨市場が安定したこともセンチメントの改善に寄与した。

  CPIは前年同月比7.7%上昇と、今年1月以来の低い伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6.3%上昇と、40年ぶり高水準だった9月(6.6%上昇)から減速した。

米CPI、総合・コアとも伸びが予想下回る-利上げ減速の余地

  S&P500種は前日比5.5%高の3956.37。ダウ工業株30種平均は1201.43ドル(3.7%)高の33715.37ドル。ナスダック総合指数は7.4%高、ナスダック100指数は7.5%高となった。ただ、S&P500種は年初からなお17%、ナスダック100指数は30%近く下げており、このままいけば通年では2008年以来の大幅安となる。

Most-shorted stocks post the biggest rally since April 2020

 

  米国債相場も大幅高。ニューヨーク時間午後4時18分現在、金融政策に敏感な2年債利回りが25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.33%。10年債利回りは27bp低下の3.82%。短期金融市場が示唆する12月の利上げ幅は75bpの確率がほぼゼロとなったが、50bp利上げは依然として織り込まれている。

  プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「インフレ面で下振れサプライズが起こったのは数カ月ぶりで、株式市場が好感するのは必定だろう」とリポートに記述。「12月の利上げは0.75ポイントより0.5ポイントになる可能性が明らかに高いが、このような内容のCPI統計が続かない限り、利上げ停止はなお先のことだ」と指摘した。

  米金融当局者は0.75ポイント利上げを4回連続で実施した後、金融引き締め継続の必要性を強調しつつつ、利上げペースの減速に支持を示した。

  ダラス連銀のローガン総裁は「金融・経済情勢の展開をよりきちんとした形で評価できるよう、利上げペースを緩めることが近く適切になり得ると思う」と発言。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はインフレ鈍化を示した10月のCPIを歓迎するとした上で、ひと月分のデータに過ぎず、インフレとの闘いでの「勝利には程遠い」と語った。

ローガン氏ら米地区連銀総裁、利上げペースの減速を支持

  外国為替市場ではドルが大幅安。CPIを受けて12月に金融当局が利上げ幅を縮小するとの思惑が強まったことがドル売りを誘った。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は2%安と、2009年3月以来の大幅下落。今年8月以来の低水準に沈んだ。ニューヨーク時間午後4時25分現在、ドルは対円で4%安の1ドル=140円62銭。一時は140円21銭まで下げた。ユーロは対ドルで2%高の1ユーロ=1.0215ドル。

  HSBCの外為トレーダー、グレゴリー・マークス氏はCPI鈍化について、ドルにとっては「パーフェクトストーム」だと指摘。ドルをロングにしていた投資家が持ち高調整を強いられるため、最近の上昇の一部を失うとみられると発言。リスク「資産のアンダーウエートとドルのオーバーウエートが広くコンセンサスになっていることを考えると、年末にかけてポジション調整を強いられる余地が大きい」と述べた。

Greenback poised for worst day since March 2009

  ニューヨーク原油先物相場は反発。早い時間は需要見通しへの重しとなっている中国の「ゼロコロナ」政策堅持が懸念されていたが、広範な金融資産が大幅上昇すると、リスク選好ムードが原油相場にも及んだ。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物12月限は、前日比64セント(0.8%)高の1バレル=86.47ドル。日中は高値と安値の差が3ドルほどの幅広いレンジで推移し、荒い値動きだった。ロンドンICEの北海ブレント1月限は1.02ドル高の93.67ドル。

  オアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は「中国が新型コロナウイルスとの闘いで苦戦を続ける中、原油は重い足取りとなりつつあったが、米経済がリセッション(景気後退)を回避できるかもしれないとの楽観がそれを相殺した」と指摘した。

  ニューヨーク金相場は大幅反発。予想を下回る伸びとなった米CPIの発表後にドルが大幅下落し、ドル建てで取引される商品への圧力が和らいだ。

  スポット価格は一時、前日比2.7%上昇して1オンス=1753.31ドルと、8月下旬以来の高値を付けた。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は40ドル(2.3%)高の1753.70ドルで終了した。

Gold and copper spike as US CPI diminishes Fed hike expectations

金スポット相場(オレンジ色)とLME銅(白)の推移

出所:ロンドン金属取引所、ブルームバーグ

原題:Stocks Skyrocket in Best Post-CPI Day on Record: Markets Wrap(抜粋)

Dollar Dives Most Since 2009 as Fed-Hike Bets Ebb: Inside G-10

Yen, Rand to Outperform Amid ‘Perfect Storm’ for Dollar: HSBC

Oil Rises as Inflation Slowdown Sends Wall Street Soaring

Gold and Copper Jump as Cooler Inflation Tees Up Fed Slowdown

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2022-11-10 22:00:00Z
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