Kamis, 07 Desember 2023

日銀12月会合ライブに、正副総裁発言でマイナス金利解除観測が再浮上 - ブルームバーグ

日本銀行の植田和男総裁と氷見野良三副総裁の発言を受けて、沈静化しつつあった早期のマイナス金利解除観測に再び火が付いた。市場関係者からは、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合が政策変更の可能性が意識される「ライブ」な会合に変わったとの声も出ている。

氷見野日銀副総裁が出口の影響に言及、金利上昇のメリットも

  氷見野副総裁の6日の講演を受けて、金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は7日、12月会合でのマイナス金利解除(0.1%の利上げ)の確率を一時40%強まで織り込んだ。

30年債入札が不調、テールは過去最大-金利先高観測で生保慎重

  大和証券の川原竜馬シニアストラテジストと佐藤一哉ストラテジストは7日付のリポートで、氷見野副総裁の講演は比較的タカ派と受け止められ、市場は12月会合で政策変更がなされる可能性まで一部織り込み始めたようだと指摘。12月会合は「ライブなものへと変化した」と記した。

日銀12月会合は一時40%強に上昇 | OISが織り込むマイナス金利解除の確率

  植田総裁は7日の国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。正副総裁発言を受けて政策変更を巡る思惑が強まり、長期金利は昨年12月以来となる10ベーシスポイント(bp)超の大幅上昇となり、同日行われた30年債入札は大きいほど不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)が過去最大となるなど不調に終わった。

金融政策運営、年末から来年かけ一段とチャレンジングに-日銀総裁

  植田総裁はその後、首相官邸で岸田文雄首相と会談。賃金が物価に波及するかどうかなどを点検していきたいと首相に伝えたと語った。8月以来となる両者の会談を受けて、円は対ドルで一時前日比1%上昇し、9月以来となる1ドル=145円台後半を付けた。

レバレッジドファンドがドルをショート、日銀総裁と岸田首相会談受け

  日銀は多角的レビューの一環として、過去25年間に実施してきた非伝統的金融政策に関する特別調査を行ったり、異次元緩和の効果と副作用を議論するワークショップを開催するなど、出口に向けた準備を進めている。市場関係者の間では、米国の利下げ前倒し観測の高まりがかえってマイナス金利解除を早める可能性が意識されている。

利下げ観測が米欧で台頭、世界の債券相場上昇加速-FRBもECBも

「良い出口は可能」

  氷見野副総裁は6日の講演で、将来金融政策が出口を迎えた場合の家計や企業、金融機関への影響を詳しく論じた上で、「出口を良い結果につなげることは十分可能だろう」と結論づけた。岡三証券の長谷川直也債券シニアストラテジストは、家計全体で見れば金利上昇はプラスとの評価を丁寧に伝えることで「出口に向けた地ならしを行った」と受け止める。  

  米国では景気減速を受けて利下げ観測が強まっている。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、利下げが始まると複数回になる可能性が高く、日銀にとっては時間の経過とともにマイナス金利解除後の追加利上げのハードルが高くなっていくと指摘。このため、マイナス金利解除は早いタイミングでやっておきたいという方向に傾きやすく、「来年1月や3月の解除も十分あり得る」とみる。  

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長も「1月であれば米利上げも利下げもないので日銀にとってもやりやすいはずだ」と述べ、早ければ年明けにマイナス金利の解除があると予想している。

(第5段落の円相場の高値を更新します)

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2023-12-07 04:25:00Z
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