4日の米金融市場では株式と国債がいずれも下落。積極的な米利下げの織り込みは行き過ぎだった可能性が示唆されている。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4569.78 | -24.85 | -0.54% |
ダウ工業株30種平均 | 36204.44 | -41.06 | -0.11% |
ナスダック総合指数 | 14185.49 | -119.54 | -0.84% |
S&P500種株価指数は2022年3月以来の高値から反落。大型テクノロジー株が売られる中、ナスダック100指数は1%下げた。
米金融当局の次のステップに関する手がかりを得ようと、今後数日に公表される一連の主要な雇用関連指標が注目される。最近は落ち着きの兆しを示していたボラティリティーが再燃する可能性もある。株式と米国債がともに先月に目覚ましい上昇を演じた後、S&P500種はテクニカル的に「買われ過ぎ」の状態で、ポジションは強気に傾いており、市場は一段と脆弱(ぜいじゃく)な状況になっている
カナコード・ジェニュイティのトニー・ドワイヤー氏は「相場はここまで大きく上昇してきた。今は一服しているようなものだ」とブルームバーグテレビジョンで述べた。
モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、11月に上昇した米国株は12月にはボラティリティーが高まると予想。「金利と株式の両方で短期的なボラティリティー」をもたらす可能性があるとリポートで分析した。
12月の米株市場は高ボラティリティー、モルガンSウィルソン氏が予想
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのジェーソン・ドラホ氏は「市場にとって最大の短期的リスクは、1カ月の驚異的な上昇の後、一服して値固めの局面が必要になるかもしれないということだ」と指摘。「多くの良いニュースは織り込み済みで、投資家は差し迫った下振れリスクをほとんど想定していないため、市場はささいな失望にさえもぜい弱だ。ただマクロ環境は当面、比較的穏やかなはずで、米金融当局は様子見モードになることが可能だ」と述べた。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は「先月の大半にわたってみられた鈍化トレンドを裏付けるかどうか確認するため、8日の米雇用統計に全ての注目が集まる」と指摘。「そうならない場合、連邦公開市場委員会(FOMC)による来年の利下げ転換は遅れるとの懸念が再燃する可能性がある」と話した。
米国債
2年債利回りは一時13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.67%を付けた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.41% | 2.3 | 0.52% |
米10年債利回り | 4.26% | 6.1 | 1.46% |
米2年債利回り | 4.64% | 9.7 | 2.14% |
米東部時間 | 16時49分 |
経済がソフトランディングに落ち着くにせよ、あるいはスパイラル的に悪化するにせよ、どちらのシナリオも金利の低下を示唆している。来年12月のFOMC会合までに約125bpの利下げが実施されると市場では織り込まれており、約50bpは6月までに引き下げられるとみられている。
プラビーン・コラパティ氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、「近い将来におけるリセッションの現実的な可能性を考慮せずに市場が利下げを織り込める規模の限界に近づきつつある」とリポートで指摘した。
米利下げ期待は「行き過ぎ」、対抗するオプション選好-ゴールドマン
外為
外国為替市場ではドル指数が7週間ぶりの大幅高。ドルは主要10通貨に対して全面高となった。米国債利回りの上昇を背景に、買いが優勢になった。8日発表される11月の米雇用統計を控えたポジション調整も見られた。
ドルは対円では一時0.4%高の1ドル=147円45銭を付けた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1240.03 | 5.92 | 0.48% |
ドル/円 | ¥147.22 | ¥0.40 | 0.27% |
ユーロ/ドル | $1.0836 | -$0.0048 | -0.44% |
米東部時間 | 16時49分 |
TDセキュリティーズの外国為替・新興国市場戦略世界責任者、マーク・マコーミック氏は「問題は市場の調整がやや行き過ぎで、早過ぎたことだ。その結果、ドルは今週値固めして、最近の下げの一部を取り戻すと考える。ポジション動向と短期のバリュエーションは伸長しており、非農業部門雇用者数が強い内容となった場合にドルが上昇するリスクが高まっている」と指摘した。
原油
ニューヨーク原油先物相場は3営業日続落。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が先週発表した追加減産について、投資家の間には原油市場の引き締めにつながるかどうか懐疑的な見方が根強い。
この日は、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相の発言が伝わると原油価格は一時的に上昇する場面もあったが、買いは続かずに結局は再び下げに転じた。
同相はブルームバーグのインタビューに対し、先週発表された日量200万バレルを超える供給削減は市場の状況を考慮した上で、「段階的なアプローチ」によってのみ撤回されると発言。OPECプラスによる減産は必要であれば来年3月を過ぎても「間違いなく」継続可能だと述べた。
OPECプラス減産、4月以降も継続可能-サウジ・エネルギー相 (1)
マイケル・トラン氏らRBCキャピタル・マーケッツのアナリストは「OPECプラス会合以降の軟調な値動きは、リスクをどう配分すべきか依然として戸惑っている投資家層を反映している」と指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比1.03ドル(1.4%)安い1バレル=73.04ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は1.1%下げて78.03ドル。
金
ニューヨーク金相場は大幅反落。金スポット価格は4日のアジア時間に過去最高値を更新したが、来年の米利下げを織り込む動きは行き過ぎとの見方が広がる中、ドルと米国債利回りの上昇に伴って売りに押された。
スポット価格はアジア時間の取引では一時1オンス=2135.39ドルと最高値を付けた。ニューヨーク時間午後2時40分時点では2030ドルを下回っている。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の1日の発言をトレーダーは利下げへの転換に向けたシグナルと受け取り、ドルと米国債利回りが急落して金にはプラス材料となっていた。しかしゴールドマン・サックス・グループは、こうした利下げ期待は「行き過ぎ」だと指摘した。
ただ、金相場の強さは、政府や中央銀行による買い入れや地政学的な不確実性まで、より広範な要因にも支えられてきた。ティベリウス・グループのポートフォリオマネジャー、ジョー・ハーメンジャン氏は「インフレが続くかどうか、利下げが行われるかどうか、あるいは非常に高い代償を伴う戦争による不確実性が続くかどうか。現在の多くの問題への答え」が金相場にはあると語った。
今後の米金融政策の手掛かりを得ようと、今週発表される労働指標に注目が集まっている。
一方、過去の金相場上昇の主要な原動力となっていた金連動型上場投資信託(ETF)は今年の大半を通じて売り手となっており、前週は5営業日連続で売り越しとなった。
ウェイン・ゴードン氏らUBSグループのストラテジストはリポートで「市場のポジショニングは、過去にこの水準を試したときと比べて軽い」と指摘。「この水準から上値を追うためには、ETFを通じた金購入の拡大という形で投資需要が増す必要がある」と論じた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は47.50ドル(2.3%)安の2042.20ドルで取引を終えた。
原題:Wall Street’s Furious Bull Run Gets Reality Check: Markets Wrap(抜粋)
Dollar Posts Best Day in Seven Weeks as Yields Rise: Inside G-10(抜粋)
Oil Holds Losses as Market Fails to Shake Off Post-OPEC+ Gloom(抜粋)
Oil’s Losing Streak Grinds on as Post-OPEC+ Gloom Settles In(抜粋)
Gold Retreats From Record as Fed Pivot Bets Seen as Overdone(抜粋)
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2023-12-04 21:52:00Z
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