6日の金融市場では、長期債を中心に世界的な国債高となった。米国と欧州の両方で経済指標が低調な結果となり、主要中央銀行が来年に利下げを開始するとの観測が強まった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.21% | -8.2 | -1.92% |
米10年債利回り | 4.10% | -6.1 | -1.46% |
米2年債利回り | 4.59% | 1.6 | 0.35% |
米東部時間 | 17時41分 |
米10年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.10%と、8月9日以来の低水準となった。30年債利回りは一時9bp下げて4.21%を付けた。一方、2年債利回りは小幅上昇した。
11月のADP民間雇用者数は10万3000人増加と、エコノミスト予想の13万人増を下回った。米金融当局が望むような労働市場の漸進的な冷え込みが示され、市場のハト派的な観測をさらに裏付ける格好となった。ドイツの製造業受注指数は予想に反して低下した。
米民間企業の雇用ペースが減速、製造業で減少-11月のADP統計 (2)
22Vリサーチが投資家を対象に実施した調査では、9-11月の景気楽観局面は終わったとの見解が示された。米労働市場は来年1-2月に緩むとみられている。
ブック・リポートの著者、ピーター・ブックバー氏は「人員採用の減速は続いており、一段と顕著になりつつある」と指摘。「私が今最も注目しているのは活動の軌道で、労働市場を含む複数の分野で明白に減速が見られる」と話した。
TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、プラシャント・ニューナハ氏は「インフレ懸念は解消されつつある」と指摘。「中央銀行はこれまでに十分な行動をとったと確信しており、利下げが必要かもしれないと考えている。さもなければ、実質金利があまりに高く景気抑制的となる可能性があるためだ」と述べた。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏はADP統計について、米政府が発表する雇用統計を予測する指標として信頼できるものではないが、予想より弱い数字は8日の雇用統計が「低調」な内容になるとの期待を抱かせるかもしれないと指摘。
「市場が労働市場の減速をどれだけ既に織り込んでいるのか、あるいは8日のデータが予想より強い内容となった場合にどう反応するのかは分からない」と付け加えた。
8日に公表される11月の米雇用統計では、雇用者数が18万5000人増の予想。失業率はほぼ2年ぶり高水準での横ばいが見込まれている。
米国株
S&P500種株価指数は続落。買い先行で始まったが、エネルギー株のほか、エヌビディアやマイクロソフトといった一部の大型テクノロジー銘柄が売られる中、失速した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4549.34 | -17.84 | -0.39% |
ダウ工業株30種平均 | 36054.43 | -70.13 | -0.19% |
ナスダック総合指数 | 14146.71 | -83.20 | -0.58% |
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州担当最高投資責任者(CIO)、ソリタ・マルチェリ氏は最近見られた株式と債券の同時高について、ソフトランディングで2024年の米利下げが可能になるとの兆候に支えられてきたと説明。同社では「ソフトのようなランディング(softish landing)」を見込んでいるが、最近の上昇ペースが持続する可能性は低そうだと話した。
その上で、「S&P500種の上値は今、相対的に限られている」と指摘。「成長が減速する中、投下資本に対するリターンが高いほか、営業利益率は底堅く、バランスシート上の債務が比較的少ない優良企業に投資家は注目するべきだと考える」と述べた。
外為
外国為替市場ではドル指数が小幅ながら3日続伸。ADP統計で労働市場の軟化が示され、朝方は下げていたが、逃避関連の買いに支えられ、上げに転じた。
ドルは対円でも小幅に上げて、一時1ドル=147円50銭を付ける場面もあった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1244.11 | 1.21 | 0.10% |
ドル/円 | ¥147.26 | -¥0.05 | -0.03% |
ユーロ/ドル | $1.0768 | $0.0004 | 0.04% |
米東部時間 | 17時41分 |
カナダ・ドルはほぼ変わらず。カナダ銀行(中央銀行)は政策金利を予想通り据え置いた。声明では、経済にもはや「過剰な需要」はなく、これまでの利上げにより支出や物価圧力が弱まりつつあることが最近のデータで示唆されていると指摘した。
カナダ中銀、政策金利を据え置き-インフレでのさらなる進展望む
マネックス・ヨーロッパの外国為替分析責任者、サイモン・ハービー氏は「今後数回のデータで景気低迷がもっと一様に示される見通しで、カナダ中銀の次回決定では新たな経済予測が公表されることを踏まえると、同中銀は4月の利下げに先立ち、1月に緩和政策の議論を正式に開始する必要があるだろう」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は5営業日続落。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物はバレル当たり70ドルを割り込み、6月以来の安値を付けた。供給過剰懸念が根強い中、原油を空売りするトレンドフォローのアルゴリズムなどによって売りが加速している。
シティー・インデックスのマーケットアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「次から次に主要支持線を割り込んでいるという事実が、売りの勢いを一段と強めている」と指摘。「価格上振れの可能性を議論する前に、反転シグナルを確認する必要がある」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比2.94ドル(4.1%)安の1バレル=69.38ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は3.8%下げて74.30ドル。
金
ニューヨーク金相場は反発。朝方発表の経済統計で米労働市場が冷え込みつつある新たな証拠が示され、米金融当局が来年に利下げする可能性があるとの見方を後押しした。
スワップ市場は来年3月の米利下げ確率を約60%とみている。金利の低下は通常、利息を生まない金の投資妙味を高める。
UBSグループのアナリストは「米金融当局が来年利下げに踏み切るとの市場の見方は行き過ぎている」とリポートで指摘。「われわれは引き続き慎重であり、投資家には金の上値を追わないよう勧める」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は11.6ドル(0.6%)高の1オンス=2047.90ドルで引けた。
原題:Global Bonds Power Ahead as Dovish Bets Take Hold: Markets Wrap(抜粋)
Key Treasury Yields Lowest Since September After Latest Data(抜粋)
Treasuries Rally, Led by Long-End as Oil Slides and Gilts Surge(抜粋)
Dollar Rises for Third Day, Shakes Off Jobs Data: Inside G-10(抜粋)
Oil Plummets to June Lows as Algorithms Exacerbate Dour Outlook(抜粋)
Gold Gains as US Private Payrolls Data Support Fed Rate-Cut Bets(抜粋)
(更新前の記事で第9段落の失業率を2年ぶり高水準付近に訂正済みです)
(国債と外為の相場データを更新します)
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2023-12-06 21:46:00Z
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