一時、一気に4円以上円高が進み、ダウ平均株価は連日最高値を更新しています。
アメリカ、FRB=連邦準備制度理事会の年内最後のFOMC=連邦公開市場委員会では、会合参加者の金利見通しが示され、来年 2024年は利下げ回数は少なくとも3回との予測が示されました。
そして、パウエル議長のハト派発言の破壊力はかなりのものがありました。
利下げ開始はいったいいつから?そして来年は「円高イヤー」となるのでしょうか。
(ワシントン支局 記者 小田島拓也)
衝撃!ハト色のパウエル議長
「政策金利はピークに近い可能性があるだろう」
「(高い金利水準を)長く維持し過ぎるリスクを意識する」
「いつになったら金融引き締めを戻すのが適切なのかという疑問については視野に入ってくるし、きょうの会合でも議論した」
日本時間12月14日午前4時半から始まったFRB・パウエル議長の記者会見での発言です。
2022年夏からワシントンに駐在し、パウエル議長の記者会見や講演を幾度となく聞き、その背後にある意図を探ろうと発言録を繰り返し読み込んできましたが、これほど「ハト派」色の強い発言が相次いだのは初めてです。
衝撃といってもいいぐらいの変化でした。
ちなみにタカ派、ハト派とは金融用語では次のような意味になります。
タカ派:景気に対して強気の見方 インフレ抑制を優先し、利上げに積極的
ハト派:景気に配慮し、金融緩和的、利上げに慎重・利下げに積極スタンス
4円以上のハト派“介入”は“無料”
FRBの決定、そしてパウエル議長の発言を受けて外国為替市場では円高が加速。
FRBの結果が発表される前、1ドル=145円10銭前後でしたが、8時間後の日本時間昼すぎには1ドル=140円95銭まで、4円以上円高ドル安が進みました。
2022年9月に円安が進んだときに政府・日銀が市場介入に踏み切りましたが、このときも短時間で5円余りの円安。
ただし、このときの市場介入には2兆8300億円が使われています。
パウエル議長のハト派発言による、いわば「ハト派介入」はお金がかかっていませんが、絶大なる効果を発揮したことになります。
市場関係者は、「政府・日銀としては待ち望んでいたFRBの“転換”だったのではないか」と指摘します。
ハト派発言の理由は
なぜパウエル議長がここまでハト派だったのか。
その理由は以下の2つに集約されます。
1.インフレの鈍化傾向を示す経済指標が相次いでいること
2.景気が減速の兆候を見せ始めていること
FRBは去年3月以降、利上げなどの金融引き締めによって景気を冷やし、インフレを抑えこむことを目指してきたので、“理想的な展開になっている”という自信がかいま見えます。
ドットチャートから読み取れるものは?
そして何より市場が注目したのは会合参加者による政策金利の見通しです。
これはSEP(Summary of Economic Projections)と呼ばれる経済見通しで、FOMCに参加している19人のメンバー全員が自分が予測する数字を投票のように提出するものです。
特に注目される政策金利の見通しは、各メンバーの予想が、点(=ドット)で示され、ドットチャートとも呼ばれています。
このドットチャートでは、来年末時点のメンバーによる金利予想の中央値は4.6%。
1回当たりの金利操作の幅を0・25%とすると、2024年は少なくとも3回の利下げが見込まれることになります。
メンバーのなかには、▼全く利下げなしと見ている人が2人いましたが、▼1回の利下げが1人▼2回の利下げが5人、そして▼3回の利下げが最も多い6人でした。
さらに▼4回の利下げが4人、▼6回の利下げが1人いて、利上げを予想する人はゼロ。
利上げ局面が終了したことを示す内容になりました。
いつから利下げ始まる?
では、利下げはいつから始まるのか?それが市場の最大の関心事です。
これについて、パウエル議長は、時期は示しませんでしたが、冒頭示したとおり、利下げの開始時期を議論したことを明らかにしています。
市場では、早ければ来年3月の会合で利下げを始めて、来年1年間で4回から6回の利下げを行うという見方が強まり、来年は日米の金利差が縮小し、“円高イヤー”になるという観測も出ています。
市場をいさめる人物も
しかし、利下げをついつい期待しすぎてしまう市場をいさめる人物もいます。
そのひとり、FRBの元副議長で、プリンストン大学教授のアラン・ブラインダー氏です。
パウエル議長とは、金融政策について議論してきた旧知の仲。
ブラインダー教授は次のように話しています。
「私が賭け事をするとしたら、『2024年後半の利下げ』に賭けると思う」「パウエル議長は慎重な人だ。自分がもし議長の座にいたらもっと慎重になる」とも話していました。
日本も地ならし?
株価や円相場を見るうえでもう1つ重要なのは日銀の動きです。
12月6日に日銀の氷見野副総裁が講演で、金利の上昇にはプラス面もあるという認識を示しました。
その翌日の7日、植田総裁が参議院の財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と発言したことで、市場では日銀が出口に向けた地ならしを本格的に始めたと受け止められました。
植田総裁がなぜ「年末から」と言ったのか、英語の「チャレンジング」には「課題が多い」「困難な」という意味もあり、真意はどこにあるのか、謎が残ります。
12月19日には日銀の金融政策決定会合の結果が発表され、植田総裁の記者会見も開かれます。
2024年のマーケットを先読みするのは少し気が早いですが、FRBの金融政策が“タカ”から“ハト”に変わる可能性は高く、日銀の政策も変化するのであれば、マーケットはこれまでとは異なる動きになるかもしれません。
注目予定
20日で東芝の株式は上場廃止となります。
ファンドのもとで非上場会社となり、経営の立て直しをはかることになります。
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2023-12-16 15:00:44Z
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