新型コロナウイルスの感染拡大による影響で生産や雇用指標が大きく落ち込んだ。経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比9.1%低下し87.1だった。比較可能な13年1月以降で最低の水準を記録した。4月の休業者数は597万人と過去最大だった。景気悪化が長引けば、企業は休業者を雇い続けるのは難しくなる。
4月の鉱工業生産は現行基準で最大の下げ幅だった。基準年が異なるため単純比較はできないものの、下げ幅はリーマン・ショック後の8.8%低下(09年1月)より大きかった。東日本大震災発生時の16.5%低下(11年3月)よりは小さかった。経産省は基調判断を「生産は急速に低下」に下方修正した。
15業種中14業種が低下した。自動車は前月比33.3%低下した。国内外で需要が低迷し、部品調達の停滞や工場の稼働停止も影響した。自動車メーカーの減産などが波及し、鉄鋼・非鉄金属工業も14.3%低下した。航空機部品を含む輸送機械工業は25%低下した。
一方、半導体製造装置などの生産用機械工業は2.5%上昇した。大きく低下した3月から戻った要素が大きい。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、5月は前月比4.1%の低下、6月は同3.9%の上昇を見込む。輸送機械工業などを中心に増産が予想されている。経産省は「先行きを見通すのは難しく、少なくとも6月までは低い生産水準で推移するだろう」と分析している。
雇用指標も悪化した。4月の休業者数は597万人と過去最大になった。前年同月比で420万人増えた。リーマン・ショック直後の休業者数は100万人程度で、異例の伸び幅になっている。休業者は失業には至っていないが、仕事を休んでいる人を指す。
同日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月から0.1ポイント悪化した。完全失業者数は178万人で6万人増えた。就業者数は前月に比べ107万人減少し、1963年1月以来の下げ幅となった。
新型コロナウイルスの感染拡大で求職活動をしておらず、失業者と統計上みなされていない人は多い。失業率はまだ低い水準だが、失業の予備軍である休業者が増加しており、今後、跳ね上がる可能性がある。
厚生労働省が29日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍で前月から0.07ポイント低下した。16年3月以来、4年1カ月ぶりの低水準となった。景気の先行指標となる新規求人は前年同月比で31.9%減と09年5月以来、10年11カ月ぶりの下げ幅となった。
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2020-05-29 02:00:00Z
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