Kamis, 07 Mei 2020

新型コロナ:米ライドシェア襲う「三重苦」 人員削減も晴れぬ視界 - 日本経済新聞

新型コロナの影響で4月ウーバーの乗客数は8割減った=ロイター

新型コロナの影響で4月ウーバーの乗客数は8割減った=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】ウーバーテクノロジーズとリフトの米ライドシェア2強が新型コロナウイルスがもたらす「三重苦」に直面している。各国・自治体による外出制限が旅客需要を8割消滅させたのに加え、仕事を失った運転手らに対する失業給付が両社の雇用慣行への批判に火を付けた。他人と車内の密閉空間を共有することへの抵抗感も、事業の先行きを不透明にしている。

ウーバーが7日に発表した2020年1~3月期決算は、売上高が前年同期比14%増の35億4300万ドル(約3700億円)、最終損益が29億3600万ドルの赤字だった。欧米での外出制限が本格化したのは3月中旬以降だったため増収基調を保ったものの、7日に電話会見したダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は「4月のライドシェアの旅客需要は前年比で80%落ち込んだ」と明らかにした。

外出制限に伴う「巣ごもり消費」で需要が急伸している料理宅配サービスが全体の業績を下支えするウーバーと異なり、ライドシェア専業のリフトの状況はより深刻だ。1~3月期の同社の利用者数は19年10~12月期に比べ7%減り、4月の乗客数は前年同月比で75%減少した。

急激な需要減に対応するため、両社は人員削減などの合理化策を矢継ぎ早に打ち出している。リフトが4月末に従業員の17%に当たる982人を一時解雇すると発表したのに続き、ウーバーは5月6日に顧客サポートや採用部門などで従業員の14%に相当する3700人を削減すると明らかにした。同社は7日には電動キックスケーターのシェアリング事業の売却や、中東子会社における約500人の人員削減も追加で表明した。

ウーバーは3月末で約90億ドル、リフトは約27億ドルの現金および現金同等物があるとしており、両社とも資金繰りに不安はないとしている。ウーバーのネルソン・チャイ最高財務責任者(CFO)は一連の合理化策により同社が経営指標として重視する調整後EBITDA(利払い、税引き、償却前利益)が四半期ベースで21年中に黒字になる見通しも示した。

ただ、新型コロナはライドシェアのようにネットを通じて単発で仕事を受発注する「ギグエコノミー」の仕組みそのものへの逆風も強めている。ギグワーカーには好きな時間に働ける自由がある一方で、企業との雇用関係はないため失業保険などの便益は受けられない。ところがトランプ米政権は新型コロナの経済対策の中でギグワーカーらにも失業給付を出す方針を示しており、ライドシェア企業が本来負担すべきだった費用が納税者に転嫁されるとの不満が高まっているためだ。

ウーバーとリフトが本社を置く米カリフォルニア州の政府は5日、州法に基づく労働者の権利を保障しなかったとしてウーバーとリフトを相手取った訴訟を起こしたと発表した。両社に対し、運転手らを個人事業主ではなく従業員として扱うよう求めている。ウーバーは争う構えだが、裁判の行方によっては同州での事業活動の前提が一変するおそれがある。

新型コロナに感染するリスクへの不安もライドシェア市場の先行きを不透明にしている。ウーバーとリフトは3月中旬から同じ方向に向かう複数の利用者が相乗りするサービスを欧米の主要都市で一時停止した。貸し切りで走る配車についてはサービスを続けているが、需要のマッチングによる割安な運賃というライドシェア本来の強みは発揮できなくなっている。

ウーバーとリフトは運転手らに手指の消毒剤を配布し、マスクの着用を奨励するなど車内での感染防止対策に努めているが、消費者の不安を払拭するのは容易ではない。米サンフランシスコ市に住むある投資家は「平時に戻ったとしても通勤には自家用車を使うことになるだろう」と話す。

ウーバーのコスロシャヒCEOは「新型コロナの終息後に稼ごうとする人々にとって我々は極めて重要なプラットフォームになる」と自社サービスの社会への貢献を訴えたが、旅客需要が戻る時期については明言を避けた。新型コロナがもたらすインパクトの大きさは、ライドシェアを世に生み出したウーバーの経営陣にもまだ見通せていない。

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2020-05-08 02:48:10Z
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