[ワシントン 17日 ロイター] - 米国では人工衛星打ち上げの需要が堅調さを保っているが、ロケット打ち上げを手がけるスタートアップ企業は、厳しい資金調達環境の下で生き残れるかどうかの岐路に立たされている。
英実業家リチャード・ブランソン氏の宇宙開発企業ヴァージン・オービットの破産申請で先行き懸念がさらに高まり、思い切った手を打たざるを得ない状況にある。
米ロケット打ち上げ市場は今、興味深い変化を迎えている。小型ロケットに少数の衛星を搭載する方法から、より大きなロケットで一度に多数の衛星を打ち上げる方法に需要が急速にシフトしているのだ。
一方、投資家は腰が引けている。ロケット事業のスタートアップ企業向けベンチャー投資は昨年が219億ドルと前年比で半減したことが、ベンチャーキャピタル企業スペース・キャピタルのデータから分かる。
スタートアップ企業のロケット打ち上げ計画は確かな収入や黒字化への道筋が見えない半面、多額の資金を必要するのでリスクが大きい。米連邦準備理事会(FRB)の利上げで資本コストが上昇する中で投資家にとって妙味が薄れており、多くのスタートアップ企業は資金確保に走り回る構図となっている。
テキサス州に拠点を置くファイアフライ・エアロスペースのビル・ウェバー最高経営責任者(CEO)は「資金調達をする上で現在ほど困難な市場は経験したことがない。リセッション(景気後退)とインフレの話題で投資が保守的に、そしてより慎重になっている」と打ち明けた。
ヴァージン・オービットが今月、破産申請したことで、スタートアップ企業にとっては実業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXや、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンスといった有力な相手と競争を続けていかなければならず、そのプレッシャーが一層強まっている。
こうした中でファイアフライの場合、市場の変化に対応して中型ロケットの量産化に取り組みつつ、ノースロップ・グラマンと新たに提携し、より大型のロケットを開発しているところだ。
昨年10月に「アルファ」ロケットを初めて衛星軌道に打ち上げたファイアフライは、今年末までに3億ドルを調達してキャッシュフローを黒字にする目標を立てたが、2月半ばまでの時点では3000万ドルしか確保できなかった。もっともウェバー氏は、それ以降で調達額が目標の約75%に達したと述べた。
ウェバー氏によると、ファイアフライは来年半ばに新たな資金調達ラウンドを実施する。
カリフォルニア州に拠点を置くレラティビティ・スペースのティム・エリスCEOは先週のインタビューで、主力の小型ロケット「テラン1」の生産を取りやめ、より大型の「テランR」に切り替える方針を表明。テランRの方が高い収益性が見込めるので、これまでに調達した13億ドルや人員をそこに投入するのが非常に有益だとの見方を示した。
テランRの打ち上げ開始は2026年の予定で、それまで約3年間は同社にとってミッションの空白が続く。それでもエリス氏は、将来の資金繰りについて心配はしていないと言い切った。
同じカリフォルニア州を拠点とするアストラ・スペースは、より切実だ。同社も今後数年でロケットの大型化を計画しているが、目下は株価を1ドル超に押し上げるのに苦戦中で、このままではナスダックからの上場廃止を迫られる。
ファイアフライとアストラは、減収を他の事業に進出する形で埋め合わせている。レラティビティ・スペースは、ロケット製造のための3Dプリンターを今後別の製品に利用することを想定していると述べた。
(Joey Roulette記者)
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2023-04-21 22:00:00Z
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