Selasa, 19 Mei 2020

「ソニーグループ」に社名変更 事業間の融合促進 - 日本経済新聞

多くの事業の強みを持ち寄り、競争力を高める

多くの事業の強みを持ち寄り、競争力を高める

ソニーが2021年4月に社名をソニーグループに変更する。完全子会社化するソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)の金融事業を含めて、各事業を俯瞰(ふかん)しながら、グループ全体の視点で戦略を立てる本社機能に特化する。新型コロナウイルスの感染拡大で生活様式などが変わる中、多くの事業の強みを持ち寄り、競争力を高める。

ソニーの社名は、テレビやカメラなどを手掛けるエレクトロニクス事業の中間持ち株会社の社名として残す。

ソニーの事業はテレビやカメラ、半導体センサー、ゲーム、音楽、映画と多岐にわたる。事業間のシナジーが乏しく割安な株価につながっていると、株主である米有力アクティビストのサード・ポイントなどから批判を浴びてきた。

吉田憲一郎社長は19日に開いたオンラインでの会見で、社名変更とSFHの完全子会社化を決断した理由について、多岐にわたる事業が長期的な経営の安定につながっていることを、創業者の盛田昭夫氏の言葉を引用しながら主張した。

完全子会社化を決めたSFHが手がける金融事業は、2代前の最高経営責任者(CEO)のハワード・ストリンガー氏が「非中核」とみなし、07年に上場子会社となった経緯もある。今回は金融を改めて中核と位置づけ、祖業のエレクトロニクスやエンターテインメントなど他の事業との連携を強化する。

SFHの完全子会社化には、金融と技術を融合するフィンテックの台頭も背景にある。スマートフォンが普及し、キャッシュレス決済などのサービスも増加。人工知能(AI)やブロックチェーン(分散台帳)などの先端技術も進化を続ける。

中国ではアリババ集団がスマホ決済を軸に個人データを収集し、与信や融資に活用している。米アップルなど米IT大手も金融事業を強化している。海外勢が日本市場に進出する可能性もあるなかで、「金融事業は当社技術を活用できる長期視点の成長事業」(吉田社長)として、海外の巨大IT企業にはない「ものづくり」のノウハウで迎え撃つ。

ソニー本体が持つ金融関連の独自技術の1つが、読み取り端末にかざして決済するスマホ決済で使われる非接触ICチップ「フェリカ」だ。18年に汎用のICチップでもソフトウエアを組み込めばフェリカを搭載できる技術を確立し、中華系メーカーの割安なスマホでもフェリカを搭載する機種が増えている。ここにソニーの金融ビジネスを組み合わせることができれば、フィンテックの勢力図を変えられる可能性がある。

完全子会社になれば、意思決定も早められる。SFHの収益の大半を稼ぐ生命保険では、ライフプランナー(営業担当者)が持つデータと本体のAIのノウハウを組み合わせ、コンサル力を高めることなどが想定される。自動車保険ではスマホアプリと連動した商品を発表するなど開発を進めている。

業績面での貢献も大きい。ソニー以外のSFHの株主に流出していた利益を取り込める。連結納税の対象となることと合わせ、純利益を400億~500億円押し上げる。SFHは国内事業が大半で、グローバル展開するエンタメと合わせ、収益面で「地政学上のリスク分散にもなり、長期的な投資力が高まる」(吉田社長)。

ソニーの株価はSFHの完全子会社が伝わった19日午後、一時前日比315円(5%)高の7000円を付けるなど急伸した。市場では「イノベーションが求められてる金融で、ソニーらしいフィンテックを実現できるか注視している」(SBI証券の和泉美治氏)との期待が出ている。

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2020-05-19 12:10:00Z
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